瀬戸内海を渡る新たな旅路、今治~尾道航路
1999年に廃止されて以来、26年の時を経て、広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ旅客航路が復活しました。この新しい航路は、2025年10月に土・日・祝日の計9日間、実証運航が行われる予定です。この運航では、自転車をそのまま積載できる「サイクルシップ」を活用し、しまなみ海道の新たな周遊スタイルを提案します。さらには、航路復活に伴い、スタンプラリー企画も同時開催され、サイクリングと観光を融合させた新しい“しまなみ旅”が始まります。
旅情あふれる船旅
今回の運航は、JR西日本中国統括本部広島支社を中心に、尾道市、今治市などで構成される「しまなみ未来共創協議会」が実施する実証事業です。穏やかな瀬戸内海の多島美を眺めながら、観光客やサイクリストにとって新たなルートが加わります。これまで橋でしか渡れなかったしまなみ海道の新たな魅力が大いに広がることが期待されています。
モニターツアーの成功
9月10日には、モニターツアーが行われ、参加者からは「移動手段としてだけでなく、観光資源としても価値がある」という高評価が寄せられました。特に、サイクリング初心者にとっては片道だけでも船に乗れるという点が魅力とされました。船から眺めるしまなみ海道の景色は、格別の体験になるでしょう。
自転車をそのまま積込み
運航に使用されるのは、「サイクルシップ しまなみ」と「サイクルシップ ラズリ」の2隻で、どちらも約50台の自転車を積むことができます。これにより、サイクリストが快適に移動する手段が提供されます。「サイクルシップ ラズリ」は尾道駅前桟橋から瀬戸田港(生口島)、井口港(大三島)を結び、一方「サイクルシップ しまなみ」は今治港からいくつかの港を巡ります。
自由な観光プランが可能
期間中は、一日に2往復行われ、途中下船して島内を巡ることもできます。往路はサイクリング、復路は航路というように、個々の好みに合った観光プランが選べます。「しまなみクルージングパス」と呼ばれる連続2日間乗り放題の運賃は、尾道から今治間が5,000円(自転車積込料込み)とお得です。
スタンプラリーを活用した観光促進
航路復活を祝い、この期間中には2つのスタンプラリーが開催されています。一つ目は「WESTERアプリ せとうちぶらりスタンプラリー」で、10月中の期間限定で対象店舗で利用できるデジタルクーポンを配布。二つ目は「今治魅力発見かるた」を基にしたデジタルスタンプラリーで、市内のスポットを巡りながらプレゼント抽選に応募するシステムがあります。
新たな観光の形へ
今回の実証事業は、サイクリングと船旅を融合させた“滞在型観光”の推進が目的です。将来的には、利用者数や沿線での消費動向を分析し、本格運航の可能性を探ります。2027年には愛媛県で開かれる国際自転車会議「Velo-city 2027」に向けて、しまなみ海道の魅力を全国に発信していく計画です。
観光客はもちろん地元市民にとっても、新しい体験としてのしまなみ旅が待っています。ぜひこの機会に、潮風を感じながら新しい旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。