品質経営懇話会設立の背景
日本の製造業は、戦後の復興期において米国から品質管理の手法を学び、日本独自の企業文化に適応させてきました。ただし、近年では多くの企業が品質管理を狭義に捉える傾向が強まり、真正の「品質経営」へと進化することが難しくなっています。このため、経営者層における品質への意識が低下し、企業の不祥事や品質問題が相次ぐ事態が発生しているのです。
そこで、一般財団法人日本科学技術連盟(以下、日科技連)は「品質経営懇話会」を発足させることにしました。本懇話会の目的は、経営トップが品質経営の重要性を再認識し、品質担当役員の役割を見直すことです。具体的には、現行の品質管理のあり方について議論し、経営者層が実践しなければならないトータル・クオリティ・マネジメント(TQM)の姿を探る場として機能します。
懇話会の運営委員会メンバー
懇話会の運営委員会には、以下の方々が任命されています。
- - 委員長: 坂根 正弘(一般財団法人日本科学技術連盟 会長、株式会社小松製作所 相談役)
- - 副委員長: 佐々木 眞一(一般財団法人日本科学技術連盟 理事長、トヨタ自動車株式会社 顧問・技監)
- - その他の委員には、大学教授及び企業の代表が名を連ねており、各分野の専門知識を生かしながら活動を進めます。
第一期メンバーの構成
第一期メンバーには、品質経営に関与する多彩なバックグラウンドを持ったメンバーが揃っています。以下に一部を紹介します。
- - 内田 雅文(コニカミノルタ株式会社 執行役)
- - 丹村 洋一(JFEスチール株式会社 代表取締役副社長)
- - 近藤 潤(株式会社SUBARU 取締役会長)
- - 上ノ山 智史(積水化学工業株式会社 取締役 専務執行役員)
- - 若林 宏之(株式会社デンソー 取締役副社長)
このように、さまざまな業界から集まった専門家たちが連携して日本の品質経営の再構築を目指します。
懇話会の今後の展望
今後、品質経営懇話会は、経営層がTQMを実践するための具体的な手法や方針を議論し、解決策を模索していく予定です。特に、企業の不祥事や品質問題を未然に防ぐための取り組みが期待されています。
このように、品質経営懇話会の発足は、日本の製造業が抱える危機を乗り越えるための新たな足がかりとなることでしょう。品質を重視した経営方針が広がることで、企業の信頼回復につながり、持続可能な成長を実現するための重要なステップになります。
日科技連の活動は、企業だけでなく、社会全体にとっても大きな意義のある展開です。今後の動向に注目が集まります。
財団概要
一般財団法人日本科学技術連盟は、1946年に設立され、東京都新宿区に位置しています。主要な事業内容は、経営管理技術、特に品質管理(QC)の普及活動であり、基本財産は23億1,720万円です。
URL:
日本科学技術連盟