日本総合研究所(以下、日本総研)、国立大学法人京都大学、京大オリジナル株式会社は、2024年度に向けた新しい取り組みとして、山形県酒田・庄内地域および宮城県石巻・岩沼地域で、地産地消による「カーボンサイクル素材産業モデル」の構築に着手します。このプロジェクトは、地元の農林水産業から生まれるバイオマスやCO2を資源とし、持続可能な素材を生み出すことを目指しています。
この取り組みの背景には、カーボンニュートラルの実現を目指す中で、石油依存からの脱却が求められる現状があります。石油を基にした素材の生産が減少する中で、バイオマスやCO2を利用する新しい技術が注目されています。これにより、石油素材の代替品となる「カーボンサイクル素材」の生産が可能になります。
2024年度には、これらの地域で特にバイオマスの供給源として期待される農林水産業との連携を強化し、カーボンサイクル素材産業全体のサプライチェーンを設計することが計画されています。この過程では、地域内のニーズに基づいた解決策の模索や、CO2循環利用に関する新たな価値創出に向けた政策提言が行われます。
具体的には、以下の3つの活動に取り組む予定です。
1.
カーボンサイクル素材産業の体制構築
検討エリアにおける産業特性や気候条件に応じたサプライチェーンの設計と、バイオマス・CO2の質と量を保障するためのカーボンマネジメント事業の検討を行います。
2.
CCU技術とバイオリファイナリー技術の統合
産業特性に応じた集積のあり方と必要な政策支援の明確化を図り、コア技術を特定して研究者と企業の連携を強化します。
3.
CO2削減価値のルール設計
CO2・バイオマス由来製品への需求創出を目指し、公共調達や排出量取引制度に基づいた具体的な算出方法とルールを策定します。
プロジェクトは2024年6月から2025年1月までの活動期間が設けられており、終了後も関連活動は継続されます。期待される成果は、地域内での炭素の循環利用による新たな産業の創出です。また、このカーボンサイクル素材産業モデルは、日本全国の農林水産業地帯へ展開していくことを目指しています。
本プロジェクトは、石油依存のない持続可能な社会の実現に寄与することを目指しており、参加企業や地方公共団体と連携してその取り組みを進めていきます。2025年度以降には、このモデルを基にした新たなビジネスが実装される予定です。環境に優しい地域産業の実現に向けて、今後も注目が必要です。