山形県と企業連携による新たなエネルギーサービスの展望
2025年8月29日、山形県東根市において、さくらんぼスマートエナジー合同会社(以下、さくらんぼSE)を中心に、東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社(TGES)、石油資源開発株式会社(JAPEX)、山形ガス株式会社、そして株式会社レゾナック・ハードディスクの5社が連携した天然ガスへの燃料転換プロジェクトが発表されました。この取り組みは、持続可能なエネルギーシステムの構築を目指し、カーボンニュートラル社会の実現に向けた重要なステップとなります。
プロジェクトの背景と目的
本プロジェクトは、山形県知事の吉村美栄子氏が推進するエネルギーの低炭素化、脱炭素化に貢献するため、東根市と連携しながら進められています。特に、産業部門におけるCO2排出量の削減を目指しており、具体的には燃料転換対象設備のCO2排出量を約30%削減することを見込んでいます。この取り組みを通じて、地域の環境損失を減らし、持続可能な開発の実現をサポートすることが狙いです。
事業スキームの詳細
さくらんぼSEは、2025年5月にTGES、JAPEX、山形ガスとの共同によって設立され、東根大森工業団地内にあるレゾナック・ハードディスク山形工場に新たにLNGサテライト設備とボイラを設置する予定です。この新しいエネルギーサービスは、エネルギーサービスを手掛ける事業者が設計・設置・所有し、利用者は初期投資をかけずに利用できるワンストップサービスを提供します。
本年9月には着工し、2026年5月からの供給開始を目指しています。また、同じくLNGサテライト設備を利用して、さくらんぼSEから山形ガスへの天然ガスの卸売りも計画されています。
環境への影響と期待
環境省の支援を受けた本プロジェクトは、脱炭素技術に基づく工場や事業場の省CO2化を加速する取り組みでもあります。企業が協力し合い、地域の支援を受けながら進めるこの事業は、持続可能な工業団地を実現する上でも重要な役割を果たすことが期待されています。地域社会や経済との調和を図りつつ、環境への負荷を軽減する取り組みは、今後のビジネスモデルとしても注目されるでしょう。
さくらんぼスマートエナジー合同会社の概要
さくらんぼSEは2025年5月に設立され、山形県山形市に本社を構えています。さくらんぼSEは、TGESが39.99%、JAPEXが39.99%、山形ガスが20.02%出資しており、レゾナックへのボイラESP事業と山形ガスへの天然ガス卸売事業を展開予定です。企業が協力し、地域の力を借りながら展開していくこのプロジェクトは、未来のエネルギー構造を見直すきっかけとなることでしょう。
地域と共にある取り組み
さくらんぼSE、TGES、JAPEX、山形ガス、レゾナック・ハードディスクの各社は、山形県および東根市の支援を受け、本プロジェクトを通じて持続可能な工業団地の実現に向けた一歩を踏み出しました。この取り組みが成功すれば、地域の環境が守られ、今後の日本におけるエネルギー問題への解決策としても大きな意義を持つでしょう。