三菱重工とICM社、バイオエタノール脱水技術で提携
三菱重工業株式会社(東京・千代田区)と、アメリカのバイオエタノール製造に強みを持つICM社(カンザス州)との提携が発表されました。両社は、バイオエタノールの脱水技術を革新するために連携を強化し、エタノール生産の効率化を目指しています。
三菱重工の膜分離脱水システム(MMDS®)とICM社の製造プロセスの連携を通じて、エネルギー消費の削減や生産プロセスの安定性向上を図ります。この協力により、バイオエタノールの脱水効率が向上し、バイオエタノール産業全体の競争力が高まることが期待されています。
脱水工程の重要性と効率化の必要性
バイオエタノールの製造において、脱水工程は重要な役割を果たしており、大量のエネルギーが消費される工程の一つです。この工程が効率的であればあるほど、製造コストが削減されます。そのため、三菱重工は、長崎地区に設置したパイロットプラントで、MMDS®を使い、国内燃料規格の基準をクリアした99.5vol%以上のエタノール純度を達成しました。
従来の「PSA方式」に代わる「分子ふるい膜分離方式」を採用することで、MMDS®はより効率的にエタノールを製造できるとされています。この方式は、液相での分離が可能であるため、装置のコンパクト化にも効果を発揮します。
ICM社の技術と展望
ICM社の技術事業化部長、Shaun Hubler氏は「三菱重工との協業を通じて新たなアプローチを模索しています。製造効率と信頼性の向上に向けた取り組みが成果を上げており、今後は商業化に向けた展開も考えていきます」と語っています。両社の提携は、バイオエタノール産業の持続可能性を高めるための長期的な協力関係と位置付けられています。
サステナブルな未来に向けて
三菱重工は、水素を必要としない植物由来のクリーン燃料、バイオエタノールの高効率な製造プロセスの開発を進めています。これにより、脱炭素技術の実現と持続可能なカーボンニュートラル社会の実現に貢献することが期待されています。
また、ICM社は1995年に設立され、再生可能エネルギーと農業の持続可能性を追求している企業です。世界110以上の施設で独自のプロセス技術を提供しており、年間約88億ガロンのエタノールを生産しています。
三菱重工とICM社が協力することで、バイオエタノールの生産効率や持続可能性が飛躍的に向上する期待が高まっており、今後の進展が注目されます。