2024年、医療機関の倒産件数過去最多776件に到達
2024年は、医療機関における倒産数が783件に達し、過去最多となりました。市場状況の厳しさを背景に、特に注目すべきは、経営者の高齢化とその後継者問題が拍車をかけているという現実です。株式会社帝国データバンクが行った調査によれば、医療機関の倒産は64件で、この数は過去最多を更新しています。
医療機関の深刻な倒産増加
2024年の医療機関倒産は64件、負債総額は282億4200万円という厳しい結果となりました。診療所と歯科医院が多くを占め、「診療所」では31件、「歯科医院」では27件の倒産が報告されました。
近年の動向を見てみると、コロナ禍が影響した後、事業者支援が行われ、多くの施設が存続してきましたが、2021年以降は再び倒産が増加しています。この背景には、収入の減少という要因が大きく、特にコロナ禍以降、患者の受診を控える傾向が強まりました。
高齢化と後継者問題
また、休廃業・解散も722件にのぼり、過去最高を記録しています。レポートによると、休廃業の81.3%を占めるのが「診療所」で、これらの施設の経営者の大半が70歳以上という深刻な高齢化が進行しています。このため、後継者がいないという現実がやがて多くの診療所の経営難につながります。
直近の調査でも、診療所の51%が現時点で後継者不在と回答しています。この流れが続く限り、廃業数の増加は避けられないでしょう。
倒産の主な原因
64件の倒産のうち、主な原因として「収入の減少」が41件を占め、全体の64.1%を示しています。さらに、コロナ関連の影響も続いており、収入の減少に直面する医療機関が増えています。人件費の高騰や材料費の急増も、経営を圧迫する要因となっています。
負債額の点では、最も大きいのは「アリシアクリニック」を展開していた美実会で、72億9500万円となっています。このような事例からも、多くの医療機関が経営難に直面していることが明らかです。
未来への懸念
2025年、さらなる倒産の増加が予測されており、特に小規模事業者が多い医療分野では、経営厳しい現実が続くと考えられます。また、診療所の減少が見込まれず、後継者不在が続くと、今後数年で倒産件数が1,000件を超える可能性も高いのです。
医療機関における経営の危機は、医療サービスを提供するための基盤を揺るがしかねない重大な問題です。地域医療の未来がどうなるか、注意深く見ていく必要があります。今後の動向に注目し続けましょう。