変革を阻む壁
2019-12-25 16:00:15

日本企業の変革を阻む壁と進化するためのカギとは

日本企業の変革を阻む壁と進化するためのカギとは



近年、日本企業はカイゼン(改善)には成功しているものの、変革には苦しんでいる現状があります。この矛盾した状況を理解するために、2019年に開催された「チェンジマネジメントフォーラム2019」において、講演者の和田氏がその問題に深く切り込んでいます。彼の見解によれば、日本企業の変革がうまくいかない原因は、戦略自体の問題ではないとのことです。むしろ、デジタル時代に適した「戦略実行マネジメント」が機能していないのが根本的な問題だとしています。

現代の戦略とその実行



和田氏は、近年の日本企業の戦略が論理的で包括的な事業システム全体を捉えていると評価しています。しかし、他国と比較して日本人の戦略立案能力が劣っているわけではないものの、その戦略を「実現」するための変革マネジメントの方法論が古いと言います。「完璧主義」や「強すぎる現場主義」の影響で、企業は不確実な環境下においても手堅い成果を求める傾向にあり、それが逆に変革の妨げになっているとのことです。

組織文化の壁



さらに、和田氏は日本企業が「クリエイティビティ」を引き出すための組織的な取り組みに不足していると指摘します。成果主義や目標管理制度が、チャレンジ精神を抑制する要因となっているのです。具体的には、成功が確約されないとプロジェクトが進まない、あるいはリスクを取ることが評価されないといった状況が、社員のモチベーションを低下させています。また、組織のメンバーは組織に対して「裏切られた」と感じる負のサイクルに陥り、「改善しようとする努力が報われない」という諦観が広がり、その払拭にはかなりの労力が求められています。

不確実性の時代に求められる柔軟性



和田氏が提案するのは、不確実な時代においては完璧な結果を求めるのではなく、少しずつ正解に近づけていくアプローチ(漸進型マネジメント)が必要だということです。さらに、クリエイティビティを引き出す仕掛けを整え、120%の力を発揮できる人材を育てることが重要だと強調します。しかし、これを速やかに実行に移そうとすると、社内の意思決定プロセスが混乱し、逆に変革が頓挫してしまう恐れがあります。したがって、最初のステップとしては、変革活動を最低限救うための小さなプロセスの変更にとどめておくべきだとしています。

チェンジマネジメントフォーラムの調査結果



フォーラムでのアンケートでは、驚くべき結果が示されています。74%の参加者が「変革に必要なリソースが不足している」と回答し、71%が「人のパフォーマンスを高めるための支援が不十分」と感じているとしています。また経営層と現場の間には変化への柔軟性に大きなギャップが生じており、経営層38%、一般部長以下60%が柔軟性の欠如を指摘しています。

変革への新たなアプローチ



日本企業が変革マネジメントに失敗する理由は、多くの場合、戦略が実行可能な具体的な計画に落とし込まれていないことに起因します。企業が変革を果たすためには、戦略と実行計画のつなぎを強化し、現実的なリソースマネジメントを行う必要があります。これにより、日本企業の変革活動の成功率を高めることができるでしょう。こうした変革が実現することによって、組織の雰囲気が改善され、社員のモチベーションが向上し、結果として企業全体の成長に寄与することが期待されます。

まとめ



日本企業が直面している変革の課題は、組織文化や管理スタイルに根ざしていることが改めて確認されました。不確実な時代に求められるのは、柔軟性とクリエイティビティを最大限に発揮できる環境を整えることです。これができるかどうかが、今後の日本企業の成長を大きく左右することでしょう。

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