大規模災害時における通信事業者の新たな協力体制
日本の通信業界では、大規模災害が発生した際のネットワークの早期復旧を目的とした新しい協力体制が始まりました。この取り組みはNTTグループ(日本電信電話株式会社、東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社、株式会社NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ株式会社)、KDDI株式会社、ソフトバンク株式会社、楽天モバイル株式会社の8社が参加し、2024年12月1日から運用を開始するものです。これにより、各社間での新たな連携が推進され、災害時の通信の安定性が向上することが期待されています。
災害に対する通信事業者間の期待
この協力体制は、過去に発生した能登半島地震における通信事業者の取り組みが評価され、総務省の後押しを受けて実現しました。大規模災害時に各社が持つアセット(事業所、宿泊施設、資材の保管場所、給油ポイントなど)を共同で利用することで、被災地のネットワーク復旧活動を支援し合うことが狙いです。
アセットの共同利用
具体的には、各社が所有する通信インフラを相互に活用することで、早期復旧を目指します。例えば、事業所や資材置き場を共有することで、復旧活動を効率化し、少ない期間で通信サービスを再開できるよう努めます。
船舶を利用した災害復旧
また、NTTグループとKDDIは自社が保有するケーブル敷設船を活用し、通信機器や災害物資を被災地に運ぶための枠組みを作りました。このプロジェクトにはソフトバンクと楽天モバイルも参画し、船上に基地局を設置することで海側からの復旧支援が可能となります。この方法により、沿岸地域でのモバイルネットワークの復旧を迅速に行えるようになります。
連携の強化と優先順位の明確化
さらに、モバイル通信事業者と固定通信事業者の間での連携を強化することにも焦点が当てられています。被害状況を正確に把握し、ネットワーク復旧に必要な設備情報を共有することで、重要な拠点を支えるネットワークの障害箇所を特定し、復旧の優先順位を明確にします。特に、携帯電話基地局への回線復旧を迅速化することにより、被災地でのモバイルネットワークの早期復旧を図る取り組みが進められています。
今後の展望
この新たな協力体制の導入により、今後の災害時には各通信事業者が一丸となり、持続可能な社会を実現するための努力が加速することでしょう。通信業界全体での連携が強化されることで、地域社会への迅速なサービス提供が期待されます。災害が発生した際には、これまで以上に頼れるネットワークが整備されることは、国民にとっても大いに歓迎されることでしょう。