アストロサイトの新発見
2026-02-25 14:34:56

アストロサイトの新たな観察手法が脳疾患研究に革命をもたらす

アストロサイトの新たな観察手法が脳疾患研究に革命をもたらす



脳の中には神経細胞以外にも多様な細胞が存在し、これらの細胞間の相互作用が神経ネットワークを維持しています。特に、アストロサイトと呼ばれる星型の神経膠細胞はその多様な機能と形態から、「神経科学研究の次世代の星」として注目されています。千葉大学大学院理学研究院の研究チームは、脳疾患のメカニズム解明に大きな一歩を進める新しい観察手法を開発し、その成果が国際的な研究雑誌『Journal of Cell Science』にて発表されました。

研究の背景とアストロサイトの役割



アストロサイトは細胞表面に微小突起を持ち、神経細胞や血管と接触しながら中枢神経系の機能を調整しています。特に、アストロサイト内の「PAP(peripheral/perisynaptic astrocyte process)」と呼ばれる構造は、神経細胞の興奮や血管からの栄養供給を調整する役割を担っています。これまでの研究では、PAPが記憶のメカニズムとも関係していることが示唆されており、その形態異常がアルツハイマー病などの神経疾患の原因になることが指摘されています。

アストロサイトは多くのアクチン結合タンパク質によって形態や動きを制御されていますが、従来の研究手法では、脳組織から分離したアストロサイトが培養条件下で失われる形態的な特徴を分析することが困難でした。このため、研究チームは新たな手法によりニワトリ胚由来のアストロサイトを使用し、生体内に近い形態を維持する環境を整えました。

新しい観察手法の確立



研究チームは、アストロサイト内のタンパク質の動きを生きた細胞の状態で観察するため、蛍光タンパク質ベクターを使った遺伝子導入技術を確立しました。このアプローチにより、アストロサイトのPAPに存在するアクチン結合タンパク質の局在を見ることが可能になりました。具体的には、ezrinというタンパク質がPAPの微絨毛部分に位置していることが確認され、さらにlasp-2というタンパク質がPAPの運動性の高い構造を形成する様子が観察されました。

この成果により、これまで一種類の構造として扱われていたPAPが、複数のアクチン結合タンパク質によって制御されている多様性のある動的な構造であることが明らかになりました。これにより、アストロサイトの分枝形成のメカニズムも解明される可能性が示唆されています。

今後の研究展望



新たに開発された観察技術を駆使することで、アストロサイト内のタンパク質の挙動を生体内に近い条件で高解像度で観察することが可能になりました。この手法を通じて、細胞間の相互作用や疾患に関連するタンパク質の挙動を明らかにし、アストロサイトが新たな神経疾患の治療薬のターゲットになることが期待されています。

特に、アストロサイトの機能や異常が脳疾患に与える影響を探索することで、創薬研究に直接貢献する道が開かれることが期待されています。

この研究は、ダイバーシティ研究環境の実現を支援するイニシアティブの下で行われ、多くの研究者の協力によって成り立っています。今後の研究進展に期待が寄せられています。


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