国内初のトークン化預金によるセキュリティトークン決済について
2023年、国内初の
トークン化預金を利用した
セキュリティトークン「ST」の決済プロジェクトが始まりました。このプロジェクトは、
株式会社SBI証券、
大和証券株式会社、
株式会社SBI新生銀行、
株式会社BOOSTRY、
大阪デジタルエクスチェンジ株式会社、
株式会社ディーカレットDCPの主要な金融機関と企業が連携し、新たな決済手法を実証する試みです。
プロジェクトの目的と背景
このプロジェクトは、セキュリティトークン市場の拡大を目指しており、これに伴う課題を解決するために設立されました。
セキュリティトークンは、ブロックチェーン技術に基づくデジタル資産であり、購入や売却が非常にスムーズに行えるのが特長です。しかし、これまでの証券決済は銀行振込を基にしていたため、リスク管理や業務処理が煩雑であるという課題が存在しました。
2020年に国内初のデジタル債(私募債)が発行されて以来、セキュリティトークンの市場は急速に拡大しており、2025年には公募発行総額が2,700億円に達する見込みです。このような成長を背景に、資金決済の方法を進化させる必要性が高まっていました。
実証プロジェクトの詳細
プロジェクトでは、DTLを活用して通常の銀行口座ではなく、デジタル通貨を用いることで、決済の効率を高める「DVP決済」手法を実践します。具体的には、
BOOSTRYが開発したブロックチェーンプラットフォーム「ibet for Fin」を通じて、
ディーカレットDCPが提供するトークン化預金「DCJPY」を利用し、セキュリティトークンの二次流通市場における決済を検証します。
実証スコープ
実証は下記のプロセスに基づいて行われます。
1. 売方証券会社がセキュリティトークン(ST)を仮移転する。
2. 決済情報を連携する。
3. 買方証券会社がDCJPYの発行を依頼。
4. 買方証券会社が、売方証券会社へのDCJPY移転を指示。
5. その後、決済情報が照合され。
6. 同時にSTが移転され。
7. 売方証券会社がDCJPYの償却を依頼。
このように、各参加者が役割を分担し、円滑な決済が行われることを目指しています。
現在の進捗
2025年8月に行われた検証では、関係者が一堂に会し、ST社債とDCJPYのDVP決済プロセスの確認を行いました。具体的には、検証用のST社債とDCJPYを用いて疑似的なDVP決済を実施し、システムイメージと業務フローを整理しました。これにより、次のステップに進む基盤が築かれました。
今後の展望
本プロジェクトは、セキュリティトークンの即時グロス決済を実現するための第一歩として位置付けられています。実証結果を広く市場参加者に周知し、新たなDVP決済スキームを普及させることで、証券市場の効率を向上させ、決済リスクを低減させていく予定です。最終的には、健全な市場の発展に貢献することを目指しています。