新しい宇宙天気情報の発表
2025年6月19日、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は、新しい宇宙天気イベント通報システム「SAFIR(セイファー)」を開始し、さらに宇宙天気情報利用ガイドラインと利用手引きを発表しました。これにより、通信や放送、宇宙システムの運用が大きく影響を受ける宇宙天気現象に対する対応策を具体的に示すことが可能となります。
宇宙天気がもたらす影響
太陽の表面で発生する「太陽フレア」など、宇宙環境の変動は地球上のインフラに影響を与える可能性があります。これらの現象によって通信や宇宙システム、航空や電力といった重要インフラが影響を受けるため、その情報を的確に把握し、迅速に対処することが求められています。NICTは1988年から宇宙天気予報を実施し、24時間の予報や現在の状況をウェブサイトやメールで提供してきましたが、宇宙天気情報の活用方法が不明瞭であったため、今回の取り組みが必要とされていました。
新宇宙天気イベント通報(SAFIR)
新たに導入されるSAFIRは、これまでの自然現象に基づく警報基準から、社会的影響を考慮した新しい基準に切り替わります。この基準では、業界ごとに異なる影響を明記し、インフラ運用者が活用しやすい情報を提供します。具体的には、科学専門用語を排除し、各分野で使われる用語を用いることで、より多くの運用者が情報を理解しやすくします。
宇宙天気情報利用ガイドラインの概要
これに伴い、宇宙天気情報利用ガイドラインが策定され、具体的な防災・減災アクションが示されています。通信・放送、宇宙システム運用、航空機運航など各業界に特化した対策がまとめられ、これを参考にすることで、各分野のインフラ運用者はより効果的にリスクに備えることが可能です。特に、予報を基にした具体的な行動が促されることで、災害に対する抵抗力も向上します。
初めて宇宙天気情報を接する方に
また、入門的な「宇宙天気情報利用の手引き」も発表されており、宇宙天気情報の基本的な概念や、その社会的影響の具体例を紹介しています。専門的な知識がない方でも理解できるような内容になっており、宇宙天気を知るための良い入り口となるでしょう。
今後の期待と展望
NICTによるこれらの取り組みが行われることで、民間企業はもちろん公的機関など、宇宙天気現象に関して正しい理解が進み、適切な対策を実施することで、より安心安全な社会の実現が期待されます。また、情報の更新を続け、より多くのユーザーとのコミュニケーションを図る方針が示されているため、宇宙天気情報の利活用が拡大する可能性も秘めています。今後は測位の分野においても、基準値の整備が進められ、広範な影響をカバーすることが目指されています。これにより、社会インフラがより強靭になり、持続可能な発展へとつながることが期待されています。