Es層の新たな解明
2025-11-17 09:38:25
高解像度の超稠密GNSS観測で明らかにされたスポラディックE層の謎
スポラディックE層とは
スポラディックE層(Es層)は、高度約100kmに存在する電離圏の一部分で、突然現れる特徴から「スポラディック」と名付けられています。この層は非常に高い電子密度を持ち、通常は反射されないVHF帯の電波を反射するため、遠距離への電波伝播を可能にします。
研究背景
Es層の発生予測は長年にわたり研究対象として注目されており、その発生メカニズムや影響について深い理解が求められています。これまでの研究では、Es層は下層大気の波動の影響を受けることが知られており、上下の大気の相互作用の理解に不可欠な要素です。しかし、Es層の観測は限られており、特にその形成から消滅までの過程を連続的に観測することは困難でした。
超稠密GNSS観測による成果
最近、海上・港湾・航空技術研究所電子航法研究所と電気通信大学からなる研究チームが、全球衛星航法システム(GNSS)の超稠密ネットワークデータを用いて、2024年5月17日に発生したEs層の詳細な構造とその変遷を明らかにしました。本研究では、約1,300点からのGEONETのデータと、ソフトバンクの3,300点以上の独自基準点観測ネットワークを活用し、これまでの2倍の解像度でEs層を可視化しました。
観測結果
この研究により、複雑なEs層の構造が2倍の解像度で捉えられるようになりました。特に、Es層が関東北部から出現し、東北地方で北上、最終的に北海道上空で消滅する過程が切れ目なく観測されたことが重要です。この連続観測は、Es層の形成時の風系や下層・超高層大気の結合過程を解明する上で新たな知見をもたらしました。
今後の展望
この研究の最終目標は、Es層の発生から消滅を予測し、電波伝播環境の予報を実現することです。さらなるデータ収集に加え、数値シミュレーションの専門家と連携し、予測モデルの改良を進める計画です。最終的な研究成果は、2025年11月27日に神戸大学で行われる「地球電磁気・地球惑星圏学会 2025年秋季年会」で発表される予定です。
研究の意義
本研究から得られた知見は、Es層が引き起こす長距離電波伝播の現象をより正確に予測するための数値モデル作成に寄与するものです。また、従来の観測方法と比べ、Es層の動的な特徴を詳細に把握することができ、今後の電波利用において重要な影響を与えると期待されています。
使用データについて
この研究で用いたデータは、ソフトバンクの独自基準点データと国土地理院が公開しているGEONETデータに基づいており、最新の研究技術を駆使して得られたものです。今後もこれらのデータを用いて、 Es層に関するさらなる研究が推進されるでしょう。
会社情報
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地球電磁気・地球惑星圏学会 国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所電子航法研究所 国立大学法人 電気通信大学
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