次世代IoTデータ集約技術「SmartBAN」の実用化
広島市立大学大学院情報科学研究科医用情報通信研究室と東芝デベロップメントエンジニアリング株式会社(東芝DME)は、次世代のボディエリアネットワーク「SmartBAN」の実用化に向けた技術を開発しました。この技術は、複数のウェアラブルデバイスなどから取得した生体情報を無線で集約し、高い精度のデータ収集を可能にします。
発表の背景
本技術は、2015年に欧州電気通信標準化機構(ETSI)で規格化された「SmartBAN」仕様を基にしており、主に医療やヘルスケア分野での応用が期待されています。ウェアラブルデバイスの普及により、生体情報の常時モニタリングが可能になる一方で、信頼性の高いデータ通信の実現にはさまざまな課題が残されています。そのため、本技術の開発が急務とされています。
SmartBANの特徴
SmartBANは、以下の特長を有しています。
1.
低消費電力化:小型センサに対応したUltra-Low-Power技術によって、長時間の使用が可能です。
2.
システムの共存:他のBANとの相互干渉を回避する機能を持ち、安定した通信が実現されます。
3.
QoSの最適制御:伝送レートや遅延を最適化し、特に医療分野では緊急信号の迅速な伝送が求められます。
4.
タイムリーな接続:ノードの迅速な接続および再接続が可能で、緊急信号の即時発信が実現されるのです。
これらの特長を活かすことで、各センサが単機能でも複数連携させることで高度な生体情報が取得可能となり、さまざまな利用環境での応用が期待されます。
活用例
SmartBANの利用により、医療・介護やヘルスケア、その他の分野での活躍が期待されています。例えば:
- - 医療・介護分野:日常的な健康モニタリングや、在宅での体調管理などが実現できます。
- - ヘルスケア・ウエルネス:屋外活動や運動中の体調管理が、より簡易に行えるようになります。
- - 業務改善:工場や作業場での動作管理や品質向上に寄与することができます。
今後の展開
東芝DMEは、今年中にSmartBAN実験キットを製品化する計画を進めています。また、広島市立大学は、この技術のさまざまな応用可能性を業界に提案していく方針です。SmartBANの普及により、医療や健康管理における新たなIoTの実現に向けた取り組みが期待されています。
結論
SmartBAN技術は、現代の医療・ヘルスケアの課題解決に向けて一歩を踏み出しました。この技術の普及が、私たちの生活の質を向上させることに貢献することを目指しています。