急増するサイバー脅威とBlackBerryの取り組み
BlackBerry Japan株式会社は、2024年第2四半期における最新のグローバル脅威インテリジェンスレポート(2024年9月版)を発表しました。この報告によると、同社のサイバーセキュリティソリューションが検出・阻止したユニークなマルウェアのサンプル数は、1日あたり約11,500件に達し、前年同期比で53%の増加を記録しました。これは、BlackBerryの脅威レポートが年次から四半期版に移行して以来の最高の増加率です。
今四半期のレポートによれば、日本はアジア太平洋地域でも近隣国を上回るユニークマルウェアの検出数を誇り、全世界でもアメリカに次いで第2位となりました。日本国内では、サイバー攻撃の増加が特に金融、医療、通信などの重要インフラをターゲットにしていることが強調されています。
ブラックベリーの防御力
BlackBerryはこの期間中に、合計370万件のサイバー攻撃を阻止しました。1日あたりの攻撃件数は43,500件で、前四半期比で18%の増加を示しています。興味深いことに、80万件を超える攻撃のうち、金融セクターがターゲットとなった攻撃は全体の50%に達し、前回比で25%の増加が見られました。
BlackBerry Japanの執行役員社長である吉本努氏は「最近新たに台頭した脅威グループが、巧妙なマルウェアの開発に注力している」と警鐘を鳴らしています。特に、BlackSuitグループによる日本の大手エンターテインメント企業へのランサムウェア攻撃がその一例であり、正規コンポーネントの悪用が確認されています。
地政学の影響
さらに、地政学的な緊張がサイバー攻撃を助長している事も注目される点です。ロシアとウクライナの紛争や、南シナ海での緊張が高まる中、サイバー戦争は重要な要素となっています。たとえば、国政選挙におけるサイバー攻撃による干渉行為が問題視されており、これは今後も続くと予測されています。
民間企業への攻撃の増加
また、民間企業へのサイバー攻撃も58%の増加を記録しました。POS端末やスキャナー、プリンターなど、企業向けデバイスの増加により、攻撃者はネットワーク侵入の機会を増やしています。特に製造業や資本財などの施設がターゲットになっていることから、注意が必要です。
ディープフェイクと社会情勢の影響
ブラックベリーの調査によると、ディープフェイク技術の進展もサイバー攻撃を複雑化させています。信頼できる人物や組織に偽装する手法が増えており、これによって詐欺行為が一層巧妙になっています。脅威アクターは常に新しい技術を利用しており、今後もその傾向は続くと見られています。
企業と法執行機関の連携
BlackBerryは、世界中の法執行機関と連携し、サイバー犯罪に関する重要な情報を提供しています。特に、カナダの王立騎馬警察と共に法執行機関のサイバー犯罪傾向分析を行い、官民協力の推進に寄与しています。このような協力関係は、サイバーセキュリティ対策の強化において非常に重要です。
BlackBerryの最新レポートは、サイバーセキュリティの重要性が増す中、企業や団体が何に注意を払うべきかを示す貴重な資料となっています。今後も脅威アクターの動きに目を光らせ、適切な対策を講じることが求められています。