SB623、外傷性脳損傷患者の運動機能改善に関する臨床試験の成果を発表
SB623に関する重要な報告
サンバイオ株式会社は、慢性期の外傷性脳損傷患者を対象とするSB623の臨床試験「STEMTRA」の結果を発表しました。この試験では、SB623が運動機能障害の改善に寄与することが示され、特に治療後48週目においてもその効果が持続することが確認されました。
SB623は、骨髄液由来の間葉系幹細胞を用いた治療であり、脳内の損傷部位に移植されます。この治療は、外傷性脳損傷による運動機能や日常生活動作の改善を目的としており、サンバイオはこの期待を背景に臨床試験を推進してきました。
臨床試験の詳細
STEMTRA試験では、合計61人の患者が参加しました。そのうち46人にはSB623が投与され、残る15人は対照群として偽手術を受けました。主要な評価項目であるFugl-Meyer Motor Scale(FMMS)に基づく運動機能の改善の結果、SB623投与群は偽手術群よりも有意に高い改善が見られました。
具体的には、SB623投与群では、FMMSスコアが8.3点の改善を示し、対照群の2.3点と比較して明らかな差がありました。さらに、この運動機能の改善は48週目まで持続し、十分な効果が確認されています。
さらに、Action Research Arm Test(ARAT)や歩行速度、NeuroQOLスコアにおいてもSB623の有効性が裏付けられました。このことから、SB623が患者の日常生活にどれほどの貢献をするかが期待されます。
安全性と忍容性
この試験では、安全性も確認されており、SB623による有害事象は発生せず、治療中止に至ることもありませんでした。これにより、SB623の治療法としての有望性が再確認され、今後の展開に期待が寄せられています。
日本での承認申請
サンバイオは、STEMTRA試験のデータをもとに、日本においてSB623の承認を受けるための申請を2022年3月に完了させました。また、米国食品医薬品局(FDA)よりRMAT(再生医療先進療法)としても指定されています。
サンバイオの社長である森敬太氏は、「SB623のデータは慢性期の外傷性脳損傷患者の生活を大きく変える可能性を秘めています」と述べ、その実用化に向けた熱い思いを示しました。
今後の展開
サンバイオは、米国においてもSB623のフェーズ3臨床試験を開始する準備を進めており、外傷性脳損傷の患者さんに継続的な治療の機会を提供する意向です。SB623は、神経再生の研究の未来をも切り開く可能性を秘めています。
外傷性脳損傷の影響
外傷性脳損傷は世界的に認知されている重大な健康問題であり、毎年多くの新規患者が発生しています。この治療が特に重視される背景には、運動機能障害が患者の生活の質を大きく低下させるという事実があります。SB623が有望な治療法として認識され、より多くの患者に届くことを期待したいです。
会社情報
- 会社名
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サンバイオ株式会社
- 住所
- 東京都中央区明石町8-1聖路加タワー13F
- 電話番号
-
03-6264-3481