2025年の中途採用市場を見つめる
2025年に入り、企業の人事部門における中途採用の方針に変化が訪れています。株式会社マイナビが実施した「中途採用実態調査 2025年版」では、本年度の中途採用における企業の実態や副業人材に対する認識が明らかになっています。
企業が求めるのは「即戦力」
調査の結果、2025年上半期における中途採用を実施した理由に「即戦力の補充」が最も多く、実に48.4%の企業がこの理由を挙げました。その次に多かったのが「退職者の増加」と「既存事業の拡大」で、それぞれ32.4%と30.3%が回答しています。特に金融・保険・コンサルティング業界においては、「今後は中途採用を積極的に行う」との意向が59.1%を占めており、デジタル化の進展に伴いこの業界では人材の確保が急務であるといえます。
副業認可率の上昇
次に、副業に対する企業の姿勢を見てみましょう。副業を認可している企業の割合は72.5%に達し、前年よりも1.7ポイントの増加を見せています。企業が副業を認可する目的は「社員のモチベーション向上」が39.3%で最も高く、副業が企業文化に浸透しつつあることが伺えます。しかしながら、実際に副業を行っている社員の割合は80.8%にのぼる一方で、実際に副業を行っている人数は従業員300名以下の企業で「3~10名」が最多という数字も出ています。
副業人材の受け入れ状況
副業人材に対しても企業の受け入れ姿勢が高まっています。調査によれば、別の企業で働く副業人材を受け入れている企業は67.0%に達し、前年よりもわずかに増加しました。特にIT・通信・インターネット業界では86.7%と、高い受け入れ率を誇ります。業務の多様化が求められている現代において、副業人材が持つ専門スキルや知見は企業にとって貴重な資源となるでしょう。
年代別による受け入れ傾向
さらに、年代別に見ていくと、20代や30代の副業人材では「専門スキルを持つ人材」が最も多く、40・50代では「管理職」が最多という結果が得られました。企業が副業人材に対して専門性やマネジメント能力を期待する傾向があることが明らかになりました。
人材不足に対するギャップ
最後に、正社員の不足感について調査を進めると、受け入れ業者が副業人材を受け入れている場合、不足感を感じる割合は36.4%であるのに対し、受け入れていない場合は64.8%に達することが分かりました。副業人材の受け入れは、正社員の不足感の緩和に一定の効果をもたらしている可能性があります。
まとめ
2025年の中途採用について、企業は即戦力の人材を求める傾向が強まり、副業人材の受け入れ率も上昇しています。このような状況から判断するに、企業の人材戦略は今後も多様化し、副業人材を取り込むことで人材不足に対策を講じていくことが求められるでしょう。今後の市場の変動に注目していく必要があります。