2025年春闘に見る職種別賃金伸び率の最新トレンドとは
株式会社フロッグが発表した「2025年4月度 職種別 賃金伸び率ランキング」に基づくデータは、正社員やアルバイト・パート、派遣といった各雇用形態の職種で賃金がどのように推移しているのかを詳しく分析したものです。春季闘争が進行中の今、企業の賃上げの意欲が高まりを見せる中で、特に注目されるのはアルバイト・パートの賃金動向です。
雇用形態別の賃金増減率
2025年4月時点での各雇用形態別の賃金増減率は以下の通りです。
- - アルバイト・パート: -1.89%から+5.01%の範囲で変動。
- - 派遣: -0.81%から+2.08%。
- - 正社員: -0.28%から+1.36%。
今回の分析では、アルバイト・パートの賃金が最も目覚ましい上昇を見せ、建設関連が特に好調です。
職種別賃金増加率ランキング
アルバイト・パート部門での賃金伸び率が最も高かったのは「建設/土木/エネルギー」で、前月比+5.01%の増加を見せ、増加額は68円に上りました。続くのは「ホテル/旅館/ブライダル」と「アミューズメント」で、いずれも1%を超える伸びを記録しています。一方で「教育/語学/スポーツ」は減少が目立ち、-1.89%の減少となりました。
厳しい競争の中での変化
特に「建設/土木/エネルギー」は昨年12月以降、企業からの求人が集中した結果、賃金が急上昇しました。その後の1月には一時的に賃金が減少したものの、現在は再び上昇傾向にあります。これに対し「教育/語学/スポーツ」は、特定の教育系企業が一時的に出稿を増やしたものの、受験シーズン終了とともに高時給求人が減少し、賃金が落ち込む影響を受けました。
派遣社員の賃金推移
派遣社員に関しては、「医療/医薬/福祉」が最も高い伸び率を記録し、前月比+2.08%でした。その背景には、特定の派遣会社が高時給の求人を出稿した影響などがあります。特に医療関連の需要は根強く、賃金は上昇を続けています。これに対し、「建設/土木/エネルギー」の派遣労働者は若干の減少を示しており、賃金の安定性に欠ける状況が続いています。
正社員市場の状況
正社員においては、「クリエイティブ(Web系)」部門が最も高い賃金上昇率を記録し、増加額は4,136円、増加率は1.36%でした。この分野はIT業界における人材需要の高まりとともに賃金の上昇が続いています。しかし「クリエイティブ(Web以外)」では、減少が見られ、業界全体では賃金の横ばい状況が続いています。
全体のトレンド
今回のデータから見ると、春闘における企業の賃上げ意欲は高まっており、特定の職種では顕著な賃金上昇が見られます。しかし、全体的には職種によって賃金の増減が激しく、景気動向に左右されやすいことが浮き彫りになっています。今後の市場では、企業の採用意欲がどのように変わるかも注目されるポイントです。
このレポートは、求人媒体から収集したデータをもとに、企業の賃金動向や労働市場の動きについて探るものとなっています。各職種での最新の動向を参考に、より良い雇用環境の構築に向けた一助となることが期待されます。