新しい汚泥処理技術を開発したWEF技術開発株式会社の挑戦
滋賀県大津市に本社を置くWEF技術開発株式会社が、画期的な活性酸素生成技術(AOS)を開発し、工場排水処理場から発生する濃縮汚泥を焼却せずに短時間で大幅に分解することに成功しました。この技術は、リン回収や資源循環にもつながる可能性があり、下水・排水処理の新たな環境ソリューションとなる力を秘めています。
現在のリン資源と汚泥処理の問題
a.
リン資源の現状
世界のリン資源は非常に限られたものであり、2020年代に入るとその供給が不安定になることが懸念されています。特に日本はリンを全て輸入に依存しており、逆に下水処理場からは年間800万トンもの余剰汚泥が発生しています。これらの汚泥処理に伴い焼却や脱水処理には高いエネルギー消費とCO2排出が伴います。このため、「リン回収と汚泥削減を同時に実現できる技術」が求められています。
実証試験の概要
この技術の実証試験は、工場排水処理場から得られた約2リットルの濃縮汚泥を使用して行われました。
空気中の酸素からスーパーオキシドとオゾンを生成し、これを水中で反応させてヒドロキシラジカルを生成するという活性酸素処理を施しました。
活性酸素とオゾンの混合比は5:1に設定し、費用対効果も考慮しました。
処理開始から数時間後、汚泥は次第に可溶化し、24時間以内には完全に分解・消滅したことが確認されました。従来は、濃縮汚泥状態での完全な分解が困難とされていましたが、今回の結果は活性酸素を用いることでその課題を解消する可能性を示しています。
焼却に依存しない新しい汚泥処理コンセプト
これまでの汚泥処理は焼却を基本としていましたが、このAOS技術では、有機物を燃やさずに酸化分解できる可能性があります。これにより、
- - 有機物を消失させる方式で、汚泥量を大幅に減少させることが可能となります。
- - 焼却にかかるCO2排出を減らすことが期待できます。
これにより、焼却を前提としない新しい汚泥処理フローの構築が目指されます。
リン回収と資源循環への道
この活性酸素処理後の液体には、汚泥由来のリンが溶出した状態で残ります。この液体からリンを回収するために、同社が開発した抽出・凝析技術(TERRAST)を用いることで、
- - リンを効率的に回収し、
- - 重金属とリンを選択的に分離し、
- - 肥料原料などとして再利用することが可能になります。
この技術により、人口10万人規模の自治体で年間約3〜4トンのリン回収が期待され、下水処理場が新たな地域資源の拠点へと生まれ変わる可能性があるのです。
CO2削減の可能性
この技術はライフサイクルアセスメント(LCA)の観点からも大きな効果が見込まれています。焼却を回避し、補助燃料や薬品の使用も減少することで、できるだけ年間1万トン以上のCO2削減が期待できるとされています。
今後の展開
WEF技術開発株式会社は、今後大学や研究機関との共同研究や下水処理場での実証試験、リン回収と資源循環を含めた事業化の検討を進める所存です。この新たな環境技術は、持続可能な社会の実現に向けて貢献していくことが期待されています。
興味を持っていただける大学や企業からの連絡を待っています。
会社概要
- - 商号: WEF技術開発株式会社
- - 代表者: 青山 章
- - 所在地: 滋賀県大津市堂1-19-15
- - 設立: 2016年7月
- - 事業内容: 水処理、廃棄物リサイクル、Mg関連技術開発、販売
- - URL: WEF技術開発
- - マグネシウムワールド