電子コミック市場の現状と未来
2012-09-25 14:00:01
電子コミック市場の現状と未来:2011年度市場規模514億円、今後の展望は?
電子コミック市場の現状と未来:2011年度市場規模514億円、今後の展望は?
2012年、株式会社インプレスR&Dのインターネットメディア総合研究所が発行した『電子コミックビジネス調査報告書2012』によると、2011年度の日本の電子コミック市場規模は514億円でした。これは前年比では減少していますが、市場の潜在力と今後の成長性に着目する必要があります。
市場規模の推移と要因
電子コミック市場は、それまで右肩上がりで成長を続けていましたが、2011年度は初めて前年を下回る結果となりました。この減少の背景には、フィーチャーフォンからスマートフォンへのスムーズなデジタルコンテンツの移行が遅れていることや、ケータイ向け電子書籍市場の落ち込みを補えていないことが挙げられます。
しかし、市場関係者は決して悲観的ではありません。スマートフォンやタブレット端末の普及、Amazon Kindleの日本上陸などにより、電子書籍市場全体が活性化すると予測されています。さらに、電子化が遅れていた少年マンガの人気作品などの電子化が進むことで、コンテンツの拡充が期待され、電子コミック市場のシェア拡大に繋がる可能性も高いです。
ユーザー動向:好まれるジャンルと紙媒体との関係
調査によると、有料電子コミック利用者の中で最も購読率が高いジャンルは「青年マンガ誌系」(49.3%)と「少年漫画誌系」(48.1%)でした。これらのジャンルは他のジャンルを大きく引き離しており、電子コミック市場における人気を反映しています。
興味深いのは、紙のコミックと比較した際のジャンルの割合です。電子コミックでは青年マンガ誌系の比率が少年マンガ誌系を上回っていますが、これは少年マンガの電子化の遅れが影響していると考えられます。
また、電子コミックの利用者について、紙のコミックの購入量の変化を調査したところ、「変わらない」が61.5%と最も高い割合を占めました。これは、電子コミックの普及によって紙のコミックが完全に代替されたわけではないことを示しています。一方で、「紙のコミック(単行本)は買っていなかった」も6.3%存在し、電子コミックが新たな読者層を開拓している可能性も示唆されています。さらに、電子コミックの購入頻度が高いユーザーほど、紙のコミックの購入量が増えている傾向が見られました。
調査報告書の構成と内容
『電子コミックビジネス調査報告書2012』は、電子コミック市場の現状と将来展望を多角的に分析した報告書です。主要な内容は大きく3つの章で構成されています。
第1章:電子コミックビジネスの概要:市場の沿革、規模、業界構造、価格構造、海外展開、課題などを網羅的に解説。
第2章:電子コミックビジネスの最新動向:市場トレンドを分析し、7つの最新トピックスを紹介。
* 第3章:電子コミックに関するユーザー利用実態調査:電子コミックの利用率、有料利用者の実態、非利用者の意向などを詳細に調査。4万件を超えるアンケート結果を分析し、多様なユーザー層のニーズや動向を把握。
この調査報告書は、電子書籍販売ストア、取次、出版社への取材、ユーザーへのアンケート調査などを基に作成されており、電子コミックビジネスに関わる企業や研究者にとって貴重な情報源となるでしょう。
まとめ
2011年度は市場規模が減少したものの、電子コミック市場は依然として大きな可能性を秘めています。スマートフォンやタブレット端末の普及、コンテンツの充実、新たな読者層の開拓など、市場活性化の要因は多く存在します。今後の動向に注目し、更なる成長を期待したいところです。
会社情報
- 会社名
-
株式会社インプレスホールディングス
- 住所
- 東京都千代田区神田神保町1-105神保町三井ビルディング
- 電話番号
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03-6837-5000