2024年東証プライム企業の人的資本開示状況
2024年3月末決算企業における有価証券報告書の「人的資本開示」状況が、(公財)日本生産性本部より発表されました。男性育休の取得率が劇的に向上する一方で、女性管理職の割合や男女間の賃金格差については長期にわたる取り組みが不可欠であるとの指摘があります。
男性育休取得率の向上
発表によれば、2024年の調査では男性育児休業取得率が64.8%に達し、昨年の44.9%から顕著な伸びを見せています。これに対し、業種別に見ると全般的に取得割合が向上しており、成果が出やすい取り組みとして評価されています。また、この成果は特にサービス業や情報通信業に見られ、今後も多くの企業がこの流れに追従されることが期待されています。
女性管理職比率と賃金格差
しかしながら、女性管理職比率や男女間賃金格差に関しては、昨年と大きな変動は確認されていません。女性管理職比率が5%未満の企業は46%に上り、また15%未満の企業が83%を占める現状は、依然として改善の余地が大きいことを示しています。
男女間の賃金格差についても、男性を100とした場合の女性の給与は71.4で、前年の70.8から若干の縮小を見せたものの根本的な解決には至っていない状態です。特に金融業は64.0と他業種と比較して格差が大きく、企業の意識改革が求められています。
開示内容の傾向
人的資本に関する情報の開示の傾向として、「人材」「育成」「経営」といった用語が頻出しています。今年も顕著な特徴として、人的資本に関する記述が1,000字以上という割合が最も高く、経営に求められる意識の高まりが確認されました。特に、企業による人材と多様性の接続への意識が強まり、今後の経営戦略に反映される可能性が見えてきています。
企業の取り組み
今回の報告は、昨年に引き続き2回目の調査となり、今後も各企業がどのように人的資本を捉え、経営に組み込んでいくのか、その動向が注視されるところです。人材や多様性の扱いは、単なる数値ではなく企業の持続可能な成長に直結する重要な要素であることを忘れてはなりません。
詳細な調査結果については、日本生産性本部のウェブサイトを訪れることで確認することができます。