建築の未来を切り拓く、中山佳子氏の革新的視点
2025年7月29日、渋谷にあるユニオンテック株式会社の本社で開催された「デザイナーズエッジ」第9回。このイベントは、クリエイティブなコミュニティとして注目されており、具体的なテーマに基づいた討論や対話が行われます。今回は、2024年に独立し「株式会社中山佳子設計企画」を設立した建築家の中山佳子氏をゲストに迎え、彼女の建築哲学や都市との新たな関係についての考察が行われました。
建築を取り巻く新たな視点
中山佳子氏は、元々日本設計で多くの都市プロジェクトに携わりましたが、現在は「共感の空間化」に基づくアプローチで活動を展開しています。このトークセッションでの中山氏は、様々な経験をもとに「建てること」だけに捉われない、より広範な視点から建築を語りました。彼女の考えは、単なる建築行為の枠を超え、都市生活と人間の関係を問い直すものです。
中山氏の講演では、日常生活に役立つ空間としての建物や、地域社会における建築の役割に焦点が当てられました。特に、自身の自宅兼事務所である「INOKASHIRA 2.0」は、その理念を実現したプロジェクトとして取り上げられました。
「INOKASHIRA 2.0」の実験的価値
中山氏の個人プロジェクトである「INOKASHIRA 2.0」は、限られた敷地条件の中で「街と共に暮らす」という発想が反映されています。L字型の生活空間をはじめ、内部と外部、家族と近隣住民を結ぶ「さんかくコモン」が設計され、これによりコミュニティのつながりが自然に生まれる仕組みが作られています。
このような空間設計は、ただの居住空間ではなく「共感の風景」を形成することを意図しています。中山氏は「決まりを押しつけるのではなく、模倣したくなるルールを提示する」と述べ、このアプローチを通じて地域社会の結束を図る意義を伝えました。
MITO LIVING ISLAND構想
さらに、中山氏は水戸市での都市再生プロジェクト《MITO LIVING ISLAND》についても説明しました。これは都市の空洞化問題に向き合い、街全体を「暮らしの島」として捉え直す試みです。全国から集まった共感者たちと協働し、10カ所の実験拠点で地域の価値を再発見するプロジェクトを実施。これにより、住民の参与を促しながら、持続可能な社会の実現を目指す新たなチャレンジが行われました。
イベントの意義と今後の展開
このイベントでは、参加者との質疑応答もあり、多くの興味を引く質問が寄せられました。中山氏は、建築と社会とのつながりを再考する機会を提供し、未来の建築家に対する重要なメッセージを届けました。
次回の「デザイナーズエッジ」は2025年9月12日に開催される予定で、髙濱史子氏を主催に迎えます。これからもこのイベントは、空間デザインにおける新たな視点を提供し続けることでしょう。
まとめ
中山佳子氏のトークセッションは、建築が「建てる」こと以上の意味を持つことを改めて浮き彫りにしました。未来の建築における多様な可能性を探求する場として、このイベントは不可欠な存在になりつつあります。参加する若手デザイナーたちにとって、貴重な学びの機会として引き続き注目されるでしょう。