国家試験のオンライン化
2022-01-19 10:00:08
国家試験受験者の意識調査から浮かび上がるオンライン化のメリットと課題とは
最近、一般財団法人全日本情報学習振興協会は国家試験の受験者を対象に、オンライン受験システムに関する調査を実施しました。この調査から、多くの受験者が試験会場までの移動に困難を感じていることが明らかとなりました。
2021年10月、渋谷駅の改良工事により、山手線内回りが運休となり、多くの受験者が影響を受けたことも影響しているでしょう。このように、受験者は試験日当日の交通機関の運行状況に依存するため、試験に間に合わないという不安を抱えがちです。特に、試験会場までの移動時間が長いほど、あらゆる要因によって遅刻するリスクも増します。
調査においては、試験当日に何時に起きたかという質問に対して、約31.1%が2時間前から3時間前の間に起床したと答えています。また、試験会場までの移動時間に関する回答では、最も多かったのが1時間から1時間30分未満で、37.7%に上りました。これからもわかるように、受験者は余裕を持って行動しているものの、実際には遅刻や迷子になってしまうことも少なくありません。
統計的に見ても、21.5%の人が国家試験で遅刻した経験があるとのことです。多くの人が受験に際して何らかのミスを経験しており、例えば受験票を忘れたり、道に迷ったりするエピソードが多数寄せられました。このような状況は、受験会場が自宅から遠隔地にある場合に特に顕著です。
さらに、試験内容に関して不満を抱えている受験者も多く、35.1%は「やや不満がある」と感じ、15.5%は「とても不満がある」と答えました。特に会場までの距離や設置数の不足、そして試験日が限られていることへの不満が上がっています。受験者の多くは、試験会場の数を増やすことや、自宅からのオンライン受験を希望しているようです。
オンライン受験の導入には明確なメリットがあります。交通費や宿泊費が不要で、自宅など好きな場所から受験できることは、受験者にとって大きな利点でしょう。また、昨今の社会においては新型コロナウイルス感染予防の観点からも、オンラインでの受験は意味を持つと言えます。
一方で、オンライン受験にはデメリットも潜んでいます。カンニングや不正行為の懸念が最も多く63.6%が指摘しており、受験環境の均一性が保たれないことについての不安も目立ちます。また、試験環境が整っていない人々の受験機会が制限される可能性があるため、デジタルに不慣れな層にとってのハードルも存在します。
それでも、公共交通機関の不具合による遅刻のリスクや経済的負担を減少させる手段として、オンライン化は魅力的な選択肢であることに疑いはありません。今後は、技術の進化と共に、公平性を確保しながら運用できるオンラインシステムの整備が求められるでしょう。
一般財団法人全日本情報学習振興協会は、さまざまな検定試験のオンライン化を目指しており、すでにカンニング防止機能を備えたオンライン試験システムを運用しています。技術的な課題を解決しつつ、受験者が安心して受験できる環境の整備が進むことを期待しましょう。
会社情報
- 会社名
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一般財団法人全日本情報学習振興協会
- 住所
- 東京都千代田区九段南1-5-6
- 電話番号
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