大田区商店街からの廃食用油を利用したSAF製造が始動
概要
近年、環境問題への意識の高まりとともに、持続可能な燃料としての航空燃料SAF(Sustainable Aviation Fuel)の需要が急増しています。そんな中、京浜急行電鉄株式会社と大田区商店街連合会は、廃食用油を原料とするSAFの製造に向けた新しい取り組みを始めることを発表しました。この取り組みは、地域の商店街から出る使用済み食用油を回収し、国産のSAFの製造に使用するという画期的なプロジェクトです。
SAFとは
SAFは、廃食用油などを原料として製造される航空燃料で、従来の航空燃料に比べて二酸化炭素(CO2)の排出量を大幅に削減することができる点が魅力です。日本政府は、2030年までに国内航空会社の燃料使用量の10%をSAFに置き換える目標を掲げながら、2050年にはカーボンニュートラルを実現することを目指しています。この取り組みは、その目標達成に向けての重要な一歩となります。
プロジェクトの背景
京急電鉄と大田区商店街連合会は、環境に配慮した社会を実現するため、京急沿線地域での廃食用油の収集体制を強化する「Fry to Fly Project」に参画しました。このプロジェクトは、地域の商店と共同で資源循環型の地域社会を目指すもので、商店街が一丸となって取り組むのは全国初の試みです。
廃食用油供給開始店舗
具体的には、大田区内の5つの商店が協力し、蓄積した使用済み食用油を集約してSAFの製造に分けていく方針です。これにより、廃食用油の輸出を減らし、有効利用することが期待されています。京急電鉄は、地域の価値を共創することを目指しており、沿線価値共創戦略を通じて地域との連携を強化します。
実施と今後の展望
このプロジェクトには、日揮ホールディングス、レボインターナショナル、SAFFAIRE SKY ENERGYも参画しており、サプライチェーンの構築を進めています。2024年には大阪府堺市においてSAF製造装置の設置が完了し、2025年からエアラインへの供給がスタートする予定です。
この取り組みは、気候変動対策においても大きな意味を持ち、地域の商店街が一体となった資源の有効活用が進むことで、脱炭素社会の実現にも寄与することを目指します。
プロモーション
プロジェクトがスタートするにあたり、沿線地域への周知を強化するため、京急線の各駅にプロモーション広告を掲出予定です。駅名としては、品川、横浜、羽田空港などが挙げられ、2025年8月からの掲出が計画されています。この取り組みを通じて、多くの人々に地域の活動への理解と協力を促すことが期待されます。
おわりに
大田区の商店街が連携して行うこのSAF製造プロジェクトは、地域資源を有効に活用し、持続可能な未来を築くための挑戦です。私たち一人ひとりも、このような地域の取り組みに注目し、協力する姿勢を持つことが重要です。過去の活動を振り返りながら、新たな未来へ向けた活動を推進していくことが求められています。