CES 2026でのdSPACEの最新テストソリューション
2025年12月16日、ラスベガスで開催されたCES 2026において、dSPACEが自動車メーカー向けに発表した新しいテストおよびAIソリューションは、ソフトウェアデファインドビークル(SDV)の開発における大きな革新をもたらしています。主にWest Hallのブース4500で展示されたこの技術は、自動車産業における複雑なソフトウェア開発を効率化し、開発プロセス全体を加速させることを目的としています。
AIを駆使したエンドトゥエンドの検証
dSPACEの要となるのは、AI技術を駆使したSIL(Software-in-the-Loop)およびHIL(Hardware-in-the-Loop)ソリューションです。この技術により、開発者はテストの自動化を進めることができ、そのプロセスの効率を飛躍的に向上させることが可能になります。特に、SILテストのためのバーチャルECUが自動生成されることにより、開発作業が一層スピーディーに行える点が注目されます。これに関連したVisual Studio CodeとGitHub Copilotソリューションも展示され、開発者はより簡単にテスト資産の構築ができるようになります。
CI/CTパイプラインの重要性
dSPACEは、SDVの開発にはより短いサイクルでの検証が求められていることを認識し、CESではCI/CTコンセプトのデモも行いました。このデモは、クラウドベースの検証アプローチを活用しており、GitLabパイプラインを中心に高度に自動化されています。こうしたシステムは、dSPACEのSILテストソフトウェアVEOSやHILテストプラットフォームSCALEXIOと統合され、開発サイクル全体での持続的なテストを実現します。
SILとHILの連携
dSPACEでは、電動化モビリティの開発においてSILとHILを効果的に活用するために、両者のコンテキストでシームレスな統合が可能なテストプロセスを提案しています。このアプローチにより、同じテストケースやシミュレーションモデルを利用することができ、テストの重複作業を防ぐことができます。例えば、バッテリ充電関連のテストでは、HILおよびSILの両方で同一のシステムを使用することで、大幅な効率化を図ることができます。
新たな製品群の紹介
dSPACEは、新たなレーダー機能テスト用ソリューションの「DARTS ARROW」を発表しました。このシステムは、運転支援システムの機能確認を目的とし、緊急ブレーキや車間距離制御といった安全機能のテストに特化しています。
また、サイバーセキュリティテストフレームワーク「HydraVision」も紹介され、これにより自動車業界における安全性を強化するための効率的なテストが可能となります。さらに「SCALEXIO Essential」は、HILテスト用のスケーラブルなリアルタイムプラットフォームを拡大し、より効果的な開発および検証を実現します。このプラットフォームは、自動車業界のみならず農業や建設分野でも幅広く利用されることが期待されます。
最後に
dSPACEは、株式会社dSPACE Japanとしても、日本国内におけるコネクテッドカーや自動運転車の開発に必要なシミュレーションおよび妥当性確認ソリューションを提供しています。自社のプロダクトが自動車メーカーやサプライヤに選ばれ、多くの試験が行われていることから、その技術力の高さを証明しています。CES 2026では、自動車業界の未来を見据えた革新的なソリューションが披露され、業界の関心を集めています。