バスク州の洋上風力発電産業の展望
バスク州政府は、2025年10月に秋田市で開催された国内最高峰の洋上風力発電イベント『Global Offshore Wind Summit』(GOWS2025)に出展し、業界での存在感を強化しました。この展示会では、バスク州が提供する洋上風力産業の特徴や競争力をアピールし、印象的な講演とパネルディスカッションを通じて、国際的なネットワークの構築を目指しました。
バスク州の地域概要
バスク州はスペインの北部に位置し、製造業が盛んな地域として知られています。その歴史は深く、鉄鉱石採掘や造船など、古くからの工業技術を受け継いできました。1970年代の経済危機を契機に、バスク州は産業の構造改革を行い、「ビルバオ効果」とも呼ばれる都市再生を実現しました。
州全体の人口は約220万人、面積は7,234平方キロメートルで、工業は州GDPの25%を占めています。自動車、エネルギー、ICTなど、多様な産業が相互に支え合う強靭なエコシステムを誇ります。特に、洋上風力産業はバスク州の重要な柱であり、革新性と競争力を持った世界的な産業集積地として発展を遂げています。
洋上風力産業の成長と挑戦
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産業基盤の確立
バスク州の洋上風力産業は、約30年の歴史を持ち、造船技術を基盤にしています。今や、150社以上が参画し、5,000人以上を雇用している状況です。これらの企業は、設計、製造、据付、運用・維持管理(O&M)にわたるサプライチェーンを形成し、国内外のプロジェクトに対して幅広い製品とサービスを提供しています。
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先進的な技術の開発
バスク州は、浮体式技術の開発にも力を入れています。将来的に深海における洋上風力の有効性が期待される中、この新しい技術の実証実験を進めています。これにより、国際的な風力発電市場におけるバスク州の競争力を高めることが目指されています。
GOWS2025での成果
バスク州政府は、今回のGOWS2025において、日本での初めてのブース出展をビルバオを拠点とするエネルギー企業イベルドローラ・リニューアブルズ・ジャパンと共同で行いました。ブースには多くの企業やアカデミア、公共機関からの訪問者があり、バスク州の洋上風力産業の全貌を伝えました。
特に、技術協力や開発に対する関心が集まり、日本市場におけるバスク州のポテンシャルを再認識する貴重な場となりました。この出展を通じて、今後の具体的な協業テーマや新たな取り組みのアイデアが得られるなど、非常に成果のあるイベントとなりました。
パネルディスカッションでのアピール
さらに、GOWS2025ではバスク州政府の副大臣ナゴレ・ボニージャがパネルディスカッションに参加し、国内外の関係者と意見交換を行いました。日本の洋上風力政策に関する国際的な比較や、日本とEU間の協力の可能性について議論されました。
この中で、バスク州が持つ経験や知見が、日本の地方自治体にとっても有用であるかもしれないことが強調されました。バスク州は、今後も洋上風力産業における情報発信と、国際的なパートナーシップの構築を進めていく方針です。
結論
バスク州は、洋上風力産業を通じて、国際的な競争力を持ったエネルギーエコシステムを形成しています。GOWS2025での出展は、その存在感と技術的リーダーシップを示す良い機会となりました。日本市場でのさらなる取り組みが期待される中、バスク州はエネルギー産業のリーダーとしての役割を果たしていくことでしょう。