南アフリカ共和国の政府関係者が岩渕薬品の海ぶどう養殖施設を視察
千葉県四街道市に本社を構える岩渕薬品株式会社は、医薬品の総合商社でありながら、地域密着型の事業展開にも取り組んでいます。最近、同社の海ぶどうの陸上養殖施設に、南アフリカ共和国の農務省から関係者が視察に訪れました。この視察は、南アフリカとの共同研究開発や生産販売を行っているゼブラファーム株式会社からの依頼によるものです。
岩渕薬品が導入している閉鎖循環式養殖システムは、三重県志摩市の株式会社養殖屋が開発したもので、特に水質や温度管理が重要となります。視察中、南アフリカの関係者たちは、養殖方法やコスト、実際の運用可能性について熱心に学びました。特にコンテナ型の養殖施設は、移動可能で特定地域に直接食料を供給できるメリットがあり、これからの乾燥地帯への対応策として注目されています。
南アフリカ共和国の農業再興に向けた取り組み
南アフリカでは、慢性的な干ばつが続いており、国土の内陸や山岳地帯では貧困が深刻化しています。このため、政府は農業や農産品加工の再興を目指し、「オペレーション・パキサ」というプロジェクトを進めています。このプロジェクトの中で、海ぶどうのような新しい養殖技術に対する関心が高まっており、南アフリカからの視察はその一環として実施されました。
地域貢献と社会課題への取り組み
岩渕薬品は、2024年からコンテナ型養殖施設による海ぶどう栽培を開始します。沖縄でしか育成が難しいとされる海ぶどうを、水質や温度、光量を慎重に管理しながら安定的かつ高品質に生産することが目標です。この活動は、地域社会の発展にも寄与するものと位置づけられています。
特に注目すべきは、この養殖事業を通じて障がい者の雇用創出を目指している点です。施設のメンテナンスや収穫、梱包作業に障がいのある方々が参加し、地域福祉や雇用の促進にも貢献することを目指しています。
持続可能な地域社会のモデルケース
岩渕薬品が進める海ぶどう養殖は、地域資源を最大限に活用しながら「持続可能な地域社会の構築」を目指す一つのモデルケースになります。この取り組みは、企業、自治体、地域住民が共に協力する「コレクティブインパクト」を実現するための基盤ともなるでしょう。
今後、医薬品卸業として培った知識を生かし、医療や福祉、環境教育など、さまざまな分野でまちづくりを推進していく計画が進行中です。