コロナ後遺症の新知見
2025-10-28 02:02:40

岡山大学が解明するコロナ後遺症と酸化ストレスの関係性

岡山大学が解明するコロナ後遺症と酸化ストレスの関係性



新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が続く中、果たしてこの病がもたらす後遺症についての理解は深まっているのでしょうか。岡山大学と山口大学の共同研究により、コロナ後遺症の診断に活用できる新たな指標が明らかとなりました。それは、血液中の酸化ストレスマーカーです。

研究の背景と目的



新型コロナウイルスに感染した一部の患者が、回復後にも様々な症状を訴える「コロナ後遺症」に苦しんでいます。これらの後遺症の原因や病態は未だはっきりせず、患者の自覚に基づいた診断が主流です。このため、後遺症の存在や重症度を客観的に評価するための指標の必要性が叫ばれています。こうした背景から、岡山大学では酸化ストレスマーカーに注目しました。

研究の進捗と成果



研究チームは、2024年5月から11月にかけて岡山大学病院で受診したオミクロン株感染による77名の患者(女性41名、男性36名、中央値44歳)を対象に、血清中の酸化ストレスマーカーを測定しました。具体的には、これにより、感染後の患者において酸化ストレスの度合いが高く、抗酸化力が低下していることが確認されました。

特に注目すべきは、思考力や集中力の低下を感じる「ブレインフォグ」症状の患者において、この酸化ストレスが有意に高いことが示された点です。この結果は、コロナ後遺症の新しいバイオマーカーとしての有用性を高めるものと考えられています。

症状と要因の関連性



さらに、研究の結果、酸化ストレスは性別や年齢、体重に関連付けられ、女性患者の方が男性患者よりも高い酸化ストレスを示しました。また、甲状腺ホルモンや副腎皮質ホルモンなどとの関連も示唆され、後遺症の複雑な病態の理解に寄与する知見となりました。

研究者のコメント



岡山大学の大塚文男教授は、この研究がコロナ後遺症の診断や評価に新たな指針を提供するものであると語ります。「目に見えない症状である倦怠感を測定することで、患者が求める客観的な評価を進めていきたい」と強調しました。また、山口大学の野島順三教授は、「酸化ストレスマーカーの解析により、今後患者に適した診断マーカーを確立し、治療に役立てることを目指していきたい」と述べています。

おわりに



今回の研究成果は、2025年に予定されている「Antioxidants」への掲載が予定されるなど、今後の医療現場に大きな影響を与えることが期待されています。コロナ後遺症に対する理解が深まることで、より適切な治療法の開発につながることが望まれます。研究者たちは、この知見を基に、患者が抱える不安や苦痛を軽減するための取り組みを続けていく考えです。


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会社情報

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国立大学法人岡山大学
住所
岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス本部棟
電話番号
086-252-1111

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