CNT選択抽出、熱電発電へ
2024-07-10 15:29:23
セルロース樹脂でCNT選択抽出!高性能熱電発電素子への応用が期待される新技術
セルロース樹脂でCNT選択抽出!高性能熱電発電素子への応用が期待される新技術
京都工芸繊維大学、奈良先端科学技術大学院大学、産業技術総合研究所の共同研究チームは、セルロース樹脂を活用した半導体型カーボンナノチューブ(CNT)の選択的抽出技術を開発しました。この技術は、従来の分離方法に比べて短時間かつ低コストで高純度のCNTを得ることができ、次世代エレクトロニクス、特に温度差発電の普及に大きく貢献する可能性を秘めています。
セルロース樹脂の活用がカギ
研究チームは、アルキル化セルロースを抽出剤として用いることで、高品質な半導体型CNTを効率的に分離できることを発見しました。アルキル基の種類、置換度、分子量などの分子構造が分離効率に影響を与えることを詳細に分析した結果、中程度に置換されたヘキシルセルロースが、半導体型CNTの選択的抽出に最も適していることが明らかになりました。
高純度CNTが実現する高性能熱電発電
この技術によって得られた半導体型CNTは、従来技術で分離されたCNTと比べて、高純度と高結晶性を両立しています。その結果、得られたCNT膜は優れた温度差発電能力(熱電変換特性)を示し、分離抽出前のCNTや他の従来技術で分離された半導体型CNTをも凌駕する性能を実現しました。
コスト削減と安定供給への期待
さらに、この抽出剤は入手容易かつ安価な原料から調製できるため、高品質な半導体型CNTの安定供給が期待されます。従来の密度勾配超遠心分離法などの方法に比べて、コスト削減と時間短縮が実現できることから、CNTを用いた熱電発電素子の開発を加速させ、実用化を大きく前進させる可能性を秘めています。
未来のエネルギー技術への貢献
今回の研究成果は、温度差発電という持続可能なエネルギー技術の発展に大きく貢献するだけでなく、高性能な半導体デバイスやセンサーなどの開発にも応用できる可能性を秘めています。今後、さらなる研究開発を進めることで、より高効率で高機能なCNTを用いた次世代技術の実現に期待がかかります。