OptQCがNEDOのポスト5G研究開発事業に採択
光量子コンピュータの可能性を探求するOptQC株式会社が、国立研究開発法人NEDOの「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」において、2つの研究テーマでの採択を受けました。この取り組みは、次世代の通信基盤や計算技術の発展に寄与することが期待されています。
開発テーマの詳細
テーマ1: 光量子コンピュータ本体の開発
第一のテーマは、OptQCが主導で行う光量子コンピュータ本体の開発です。この取り組みは、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)と協力し、10,000量子モードに対応する次世代光量子プロセッサの実現を目指します。光方式の利点を最大限に活用し、従来のコンピュータでは実現が難しい計算速度とスケールの両立を実現することを目指しています。
テーマ2: 量子誤り訂正用素子の開発
第二のテーマでは、量子誤り訂正に必要不可欠な光子数識別器の開発が進められます。こちらも産総研との共同研究によって進行しており、光量子コンピュータ全体の性能向上に寄与することが期待されています。
光方式の利点と進むべき道
OptQCは、東京大学の研究を基に2024年に設立されたスタートアップですが、光方式を用いた光量子コンピュータの開発においてはいくつかの明確な利点があります。室温での動作、高スループット、そして光通信技術との互換性などがその特徴です。特に、時間領域多重と呼ばれる技術により、量子モードを瞬時に多重化することで、スケーラビリティの面でも優れたアプローチとなっています。
ただし、実際にスケーラブルな光量子プロセッサを構築する上では、計算の高速性と量子性が相反するというトレードオフの壁があります。この課題を解決するために、OptQCでは「ノイズレス光増幅」という先進技術を用いることで、高速性と高い量子性を同時に確保しようとしています。この新しいプロセッサは、ポスト5G時代における多様な産業への応用が期待されています。
産業連携と技術共有
OptQCの光・量子技術メンバーシップ制度「HIQALI(ヒカリ)」には、20社以上の企業が参加しており、量子技術の社会実装に向けた取り組みが行われています。これにより、商用1号機の利用開始に向けての準備が進んでおり、各企業からのフィードバックがプロセッサの設計や実装に実際に反映されることで、技術と製品の更なる向上が期待されています。
CEOのコメント
OptQCの代表取締役CEO、高瀬寛氏は「NEDOに選定されたことを大変光栄に思います。量子コンピュータの実用化には、計算装置だけではなく、周辺技術や産業との連携が不可欠です。日本が得意とする光技術を基盤に、先進的な計算装置の実証を進め、グローバルに通用する技術の確立を目指します」と述べています。
会社概要
- - 会社名: OptQC株式会社
- - 所在地: 東京都豊島区西池袋1-21-7 住友不動産池袋西口ビル 10階
- - 代表者: 代表取締役CEO 高瀬 寛
- - 設立: 2024年9月2日
- - 事業内容: 光量子コンピュータの研究・開発・提供
- - URL: OptQC公式サイト
今後の光量子コンピュータ技術の発展と、ポスト5Gの未来に向けた活躍に注目が集まります。