革新技術で業界をリードするOrbray株式会社
1. はじめに
医療や科学の分野で新たな可能性を秘めた技術が登場しました。Orbray株式会社が開発した単結晶ダイヤモンドを使用した放射線検出器です。この製品は、他の材料に比べて高い耐性を持ち、放射線の精度ある測定が期待できます。特に、医療用途においては放射線診断や治療計画に強力なツールとなるでしょう。
2. ダイヤモンドの特性
ダイヤモンドは熱的・化学的安定性が高く、高速で応答できる理想的な半導体材料です。原子番号6の炭素から構成されているため、生体組織を模した特性を持ち、放射線による被ばく線量を正確に算出することができます。従来、放射線検出器にはシリコンやゲルマニウムが主流でしたが、ダイヤモンドの利点は際立ちます。
3. 研究のバックグラウンド
1990年代までは天然ダイヤモンドを利用した研究が主流でしたが、2000年代以降は化学気相成長(CVD)の技術によって高品質な合成ダイヤモンドが可能になりました。特に、ホモエピタキシャル成長法によって単結晶ダイヤモンドの特性が大幅に向上し、感度や分光特性に優れた検出器の開発が進みました。
4. Orbrayの開発した放射線検出器
Orbrayは、独自のステップフロー成長法を活用して直径2インチの単結晶ダイヤモンド基板(KENZAN Diamond™)を開発しました。この基板を用いて、東京都立大学や東北大学、他の研究機関と共同で放射線検出器を製作しました。実験結果は、従来の検出器よりも高い感度と優れた分光特性を確認したと報告されています。また、20mm角の大面積ダイヤモンドを使用した超高感度検出器も試作されました。
5. 今後の展望
Orbrayは2025年4月に開催される日本医学物理学会学術大会において、ダイヤモンドの製造方法や検出器の評価結果の招待講演を行う予定です。同時に国際医用画像総合展でも実機を展示する計画で、さらなるユーザー評価を通じて製品開発を進めていく方針です。
6. まとめ
この革新的なダイヤモンド放射線検出器は、医療や科学の分野に新たな風を吹き込むでしょう。Orbray株式会社の技術革新に期待が高まります。今後、さまざまな場面でその成果が活かされることを願っています。