量子ビットの新技術
2025-03-24 18:24:13

ダイヤモンドスピン量子ビット、量子ゲート操作の新技術で未来の計算を変革

ダイヤモンドスピン量子ビットの高精度技術



最近、富士通株式会社は、オランダのデルフト工科大学と共同で、ダイヤモンドスピン量子ビットの高精度な量子ゲート操作技術を開発しました。この技術により、世界初の誤り耐性量子計算(FTQC)が可能になり、量子コンピュータの実用化が一歩近づくことが期待されています。

誤り訂正を可能にする精度



この新技術は、エラー確率を0.1%未満に抑えることができる高い精度を実現しました。これにより、量子計算の過程で発生するエラーを大幅に減少させることが可能となります。これまでの超伝導方式などの量子コンピュータと比較すると、精度が世界最高水準であることが示されています。高精度な量子ゲート操作は、米国物理学会の刊行する専門誌『Physical Review Applied』に掲載され、科学界にも注目されています。

量子ゲート操作技術の詳細



この新たな操作技術は、量子ビットへのノイズの影響を排除しつつ量子ゲート操作を行う方法と、量子ゲート操作の評価と最適化を行う「ゲートセットトモグラフィ」を用いて実現しました。これにより、ユニバーサルゲートセット(Hゲート、Tゲート、CNOTゲート)の高精度な操作が可能になり、99.9%を超える高精度を記録しました。

今後の展望



富士通は、QuTechと共に量子ビットの数を増やし、ダイヤモンドスピン方式量子コンピュータの早期実用化を目指しています。具体的には、光量子チップや制御回路の開発を通じて、量子コンピュータの性能向上を図っていく方針です。

ダイヤモンドスピン方式の特長



ダイヤモンドスピン方式の量子コンピュータは、ダイヤモンド結晶内に存在する特異な欠陥(カラーセンター)を利用します。スピン(電子および核スピン)を量子ビットとして使用することで、長いコヒーレンス時間を持つ高性能な量子ビットが実現されます。特に、ダイヤモンドスピンは高温での動作が可能であり、冷却コストを抑えることが期待されます。

量子ネットワークへの応用



さらに、ダイヤモンドスピン量子ビットは光子を用いた量子状態の伝送が可能であり、量子ネットワークを介した計算への応用も期待されます。それによって、スケーラブルな量子コンピュータの実現が可能になるでしょう。

期待される影響



この技術の実用化により、量子コンピュータが広く社会で利用される可能性が広がります。量子誤り訂正が正確に行えることは、より複雑な計算を迅速に行うための鍵となるでしょう。今後も、この技術の進展が楽しみです。

デルフト工科大学の教授、ティム・タミニアウ氏は、「99.9%を超える高精度なゲート操作を実現したことは、量子計算の発展に重要な意味を持ちます」と述べています。富士通株式会社の佐藤信太郎氏も、「この結果は、ダイヤモンドスピン方式の高いポテンシャルを示すものです」とコメントしています。

まとめ



富士通とデルフト工科大学の共同研究が示す成果は、量子コンピュータ技術の新たな可能性を感じさせるものです。精度の高い量子ゲート操作の実現によって、量子コンピュータが生活の様々なシーンで活躍する未来が見えてきました。今後もこの分野の研究に注目が集まります。


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会社情報

会社名
富士通株式会社
住所
神奈川県川崎市中原区上小田中4-1-1
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