島根県益田市の医療現場への訪問
2025年10月3日、大阪医科薬科大学の臨床研修協力施設である益田地域医療センター医師会病院が、同大学を訪問しました。この訪問の目的は、益田市医師会の大畑力会長と病院長の齊藤洋司医師による表敬であり、地域医療における重要なテーマ、特に総合診療医の育成について協議されました。
当日のスケジュール
当日は、まず医学部の総合診療医学教室の鈴木教授とともに、地域医療における総合診療医が果たすべき役割とその育成の重要性について熱心な意見交換が行われ、その後、病院内の見学が実施されました。特に、今年7月にグランドオープンした病院本館を始め、最新の医療設備や機能を視察し、地域医療の向上に向けた取り組みに触れる貴重な機会となりました。
さらに、医療総合研修センターの森脇真一センター長と意見交換も行われ、地域における医師の育成や医療体制の強化に向けた具体的な方策について話し合われました。また、法人の佐野浩一理事長・学長との会談を通じて、大学と医療機関の連携を深めるための新たなアイデアが生まれることが期待されています。
医師偏在問題
日本全国において長年の課題である「医師偏在」が深刻化しつつあります。都市部では医師が過剰に存在する一方、地方や特定地域では医師不足が顕著です。この問題は、ただ医療を必要とする地域住民に対して提供される医療サービスの質が低下するだけでなく、働く医師たちの長時間労働にも直結しています。2040年には団塊ジュニア世代が65歳以上となり、この状況はさらに厳しくなると予想されています。
厚生労働省は、地域の医師偏在を是正するために「新たな地域医療構想等に関する検討会」を設置し、実行可能な対策を模索しています。
島根県益田市の現状
島根県全体の医師数は全国平均を上回っているものの、その大部分が県東部に集中しており、特に県西部で医師不足が急速に進行しています。益田市においても、2040年問題を視野に入れた対策が急務であり、医療の維持活動が求められています。
大阪医科薬科大学の取り組み
大阪医科薬科大学は、益田地域医療センター医師会病院への臨床研修医の派遣のほか、高知県本山町や兵庫県の西播磨、中播磨地域での若手医師の派遣も行っています。専門医の育成はもちろん、総合診療医の育成にも力を入れており、エンドツーエンドの医療支援を展開しています。学生は多職種の連携を学びつつ、地域医療における組織的なアプローチを身につけることで、超高齢社会および医師偏在地域における医療環境に適応できる人材へと成長しています。
このように、益田市の医療関係者と大学の連携は、地域医療の未来にとって重要な一歩であり、医療の質を高め、地域住民のニーズに応える力強い取り組みとなっています。