デジタルヘルスサービスが企業の健康経営を後押しする新たな実態

デジタルヘルスサービスの利活用実態調査



背景と調査の目的


株式会社日本総合研究所(以下「日本総研」)が運営する「日本デジタルヘルス・アライアンス」(JaDHA)では、近年の健康経営の重要性を踏まえて、産業医を対象にデジタルヘルスサービス(DH)の利用実態を調査しました。この調査は、企業が健康経営を推進する上での情報収集の基盤を築くためのものです。

デジタルヘルスサービスは、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、その利点が広く認められるようになりました。特に、対面診療が不要であったり、診療時間外に利用できるため、企業にとって利用価値が高まりつつあります。加えて、医療従事者の確保が難しい中で、DHは企業にとってコスト面での有利さも評価されており、従業員の健康課題に対処する手段として期待されています。しかし、これらのサービスが玉石混交であるため、企業が安心して導入できる環境の整備が急務です。

調査結果の概要


高い利活用価値


回答した産業医のうち、8割以上がDHの利活用価値を感じていることが明らかになりました。特に、DHを単体で利用するだけでなく、保健スタッフの指導と組み合わせた利用が望ましいという意見が51%を占めました。これは、定期的な対面指導とデジタルサービスが相乗効果を生むことを示唆しています。

行動変容を促すサービスの実態


調査によると、企業が導入するDHは運動習慣や禁煙、食生活改善を目的としたものが多く見受けられました。また、メンタルヘルスを改善するためのサービスの利用も進んでいます。最近では、セルフケアを促すアプリが増えていることも影響しており、導入状況の背景にあります。ただし、フレイルや認知症予防に特化したサービスの導入率は低く、特に女性特有の健康課題に関するサービスには大規模企業と中小企業での導入に差があることも理解されました。

企業規模に応じた導入のばらつき


調査対象となった産業医のうち、約3割はDHを導入済みであり、その多くは大規模企業の健康経営推進企業に集中していました。中小企業では導入率が低く、企業規模や健康経営への取り組みの強さが導入状況に影響を与えていることが明らかになりました。特に情報収集の方法に関しては、大企業では一次情報の利用が多いのに対し、中小企業では主に二次情報に依存している傾向が見られました。

導入促進の鍵となる第三者認証


中小企業がDHを導入する際の最大の障壁は、投資の正当性を判別しにくいことです。また、適切なDHの選択や従業員への導入説明にリソースが不足しているとの意見も多く聞かれました。これに対抗するために、第三者による認証制度の導入が求められており、これを通じてサービスの有用性を証明すれば、企業がDHを導入しやすくなると80%以上の産業医が期待を寄せています。

今後の展望


調査結果から、企業におけるDHの導入には顕著な偏りが見られました。これは費用や労力の負担能力に密接に関連しており、今後は情報収集や選択肢の整理が必要とされています。特に第三者認証に基づく客観的データを提供することが求められています。このような環境整備が進むことで、DHの供給側にも影響を与え、サービスの質の向上と市場の活性化が期待できます。

日本では、デジタルヘルス市場がまだ発展途上にあり、今後は国際的な取り組みを参考にしながら、産業医や関連省庁と連携を深め、企業が健康経営を推進するための実効性ある施策を実施していく必要があります。JaDHAは、健康経営の推進とそれに伴う課題解決に向けた取り組みを続けていきます。

会社情報

会社名
株式会社日本総合研究所
住所
東京都品川区東五反田2-18-1大崎フォレストビルディング
電話番号
03-6833-0900

トピックス(ライフスタイル)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。