サステナブル素材「SHELLTEC」の誕生
TBWA HAKUHODOは、近年非常に注目されているサステナブルなプロジェクトの一環として、「SHELLTEC」という新素材の企画・開発を行いました。この素材は、水産系の廃棄物、具体的には貝殻を再利用したもので、日本で初めての試みとなります。貝殻の再利用は、その廃棄物を単なるごみと見るのではなく、素材としての可能性を見出す挑戦でもあります。
貝殻がもたらす新たな可能性
日本では、年間で約20万トンものホタテ貝殻が捨てられています。この大量の廃棄物を資源と捉えることで、新しい素材の開発が進められました。貝殻に含まれる炭酸カルシウムは、建材やプラスチックなどの原料として知られており、SHELLTECはこの特性を活かした素材です。
実際に、SHELLTECは廃棄された貝殻と廃棄プラスチック、コンクリートを組み合わせて作られています。この材料の使用により、従来のプラスチックに比べて最大で36%ものCO2を削減でき、さらに耐久性も増しています。また、石灰岩由来のエコプラスチックとの比較でも、最大20%のCO2削減が可能です。
製品展開と環境への配慮
SHELLTECはすでにヘルメットやテトラポッドとして実用化されており、今後はより多様な製品への展開が予定されています。「守る」という理念を基に、貝殻の本来の役割に回帰させた製品作りを進めています。また、ホタテ以外のムール貝や牡蠣の貝殻も活用することで、さらなる可能性を探求しています。
「HOTAMET」シリーズの成功
このプロジェクトの礎となったのは、2022年に発表された「HOTAMET」というヘルメットです。貝殻の特性を活かし、環境負荷を可能な限り低減することを目的としています。これは「守るのは、頭と地球」というメッセージを込めたもので、生物模倣(バイオミミクリー)の考え方に基づいて設計されています。HOTAMETは数多くの国際的なアワードを受賞しており、そのデザインと機能性が高く評価されています。
環境展示会での披露
最近、SHELLTECを採用した製品は、日本最大級の環境展示会「エコプロ2024」で展示され、多くの注目を集めました。この展示会では、リアルタイムで3Dプリントしたミニ・ホタテトラポッドが来場者を魅了し、新素材の可能性を身近に感じてもらう機会となりました。
企業の取り組みと未来への展望
TBWA HAKUHODOは、これまでにも様々な社会課題を解決するためのプロジェクトに取り組んできました。それぞれのアイデアは、TBWAのクリエイティビティと甲子化学工業とのコラボレーションから生まれています。これは、広告の枠にとどまらず、企業全体で新しいビジョンを作り出す独自の方法論を反映しています。
熊襲化学工業の背景
甲子化学工業は1969年に設立され、長年にわたり、さまざまな技術を用いて信頼を築いてきたメーカーです。最近では、環境に配慮した素材開発をテーマにした「アップサイクル」に力を入れ、廃棄資源を新たな形に生まれ変わらせる取り組みを進めています。これにより、持続可能な未来を見据えた実現を目指しています。
まとめ
「SHELLTEC」は、貝殻という廃棄物を有効活用することによって、新しい可能性を秘めた素材としての未来を拓いています。この取り組みが進むことで、多くの製品に触れ、持続可能な社会の実現につながることを期待したいです。TBWA HAKUHODOは、今後もサステナブルなソリューションを広げ、地球環境への配慮を深めていくでしょう。