日本の強靭性がもたらす孤独と信頼のアンバランスな現状を考える
日本の強靭性がもたらす孤独と信頼のアンバランスな現状を考える
近年の調査によると、日本国民の強靭性(レジリエンス)は高い一方で、他者や政府への信頼感は極めて低いことがわかりました。この調査はロイド レジスター財団が行った「世界危機管理世論調査」というものであり、121カ国以上、12万5000人を対象にしています。災害時における自らのコミュニティの安定性や、国のインフラ、さらには政府の対応に対する意識について分析されています。
調査の結果、日本の回答者の48%が「隣人は自分の安否について気にかけていない」と考えており、これは世界平均の32%を大きく上回る数字です。この傾向は、特に新型コロナウイルスの影響から孤独感が増している現状に鑑みると、非常に深刻なものであるといえます。さらに、見知らぬ人を助けた経験があると答えた人の割合が20%で、これもまた世界平均の32%を大きく下回り、日本が最も低い水準となっています。
日本では、自殺者数が増加していることも関連データとして挙げられます。この現象は、コミュニティや社会とのつながりが薄くなり、孤独を感じる人々が増えていることを示唆しています。このような事態を受けて、日本政府は孤独や孤立に対する対策を講じるため、「孤独・孤立対策担当大臣」を設置することに決定しました。
また、調査の中で51%の人々が「政府は国民の社会福祉に関して全く関心を持っていない」と回答し、これも世界平均の37%を大きく上回っています。これらのデータは、日本国民が政府に対する信頼を感じていないことを強く示しています。
一方で、個人や家庭の強靭性に関する数値は高く、特に個々のレジリエンススコアは0.63であり、これは世界平均の0.46を40%上回る結果です。また、家庭における強靭性も0.64で、これまた世界の平均である0.54を上回っています。これらの指標は正の側面ですが、個々の強靭性が高くても、他者とのつながりが減少していると心の不安を抱えやすくなります。
ロイドレジスター財団のエビデンス&インサイトチームのディレクター、サラ・カンバーズ博士は、「この調査は、地域社会がいかに協力して人々を支援し、自然災害等のリスクに対処するかに関連した貴重なデータを提供しています。日本の場合、個人や家庭に依存する傾向が高く、地域社会のつながり強化が必要です」と述べています。
この状況を受け、政策立案者は地域のサポートを強化することで、より高いレベルの強靭性を促進できる可能性があると指摘されています。
日本は、他国に比べて独自の文化や背景を持つ国であるため、今後も孤独や社会的隔離の問題に注目し、解決策を模索する必要があります。
まとめ
今回の調査結果から、日本の強靭性が高いことがわかる一方、他者への信頼感の低さや孤独感の増加が浮き彫りになりました。これらの要素が相互に影響し合っていることを理解し、今後の政策や地域のサポートに活かすことが求められています。サポートの強化が日本の社会全体における強靭性の向上に寄与することが期待されています。
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