環境に配慮した新素材の開発
近年、環境問題がますます注目される中、中西金属工業株式会社(本社:大阪府大阪市)は、新しいアクリルゴムの開発に成功しました。この新素材は、PFAS(有機フッ素化合物)フリーであり、それでも高耐熱性と低トルクを実現しています。今回は、この革新的な素材の開発経緯と特徴、期待される用途について詳しく見ていきましょう。
開発の背景
PFASはその環境への悪影響が問題視されており、2023年にはECHA(欧州化学品庁)から1万種類のPFASが全面的に規制されることが提案されました。特に、高温環境で使われるフッ素ゴム部品への影響が懸念される中、新たに開発されたアクリルゴムが試練に立ち向かうことが期待されています。これはフッ素ゴムに匹敵する耐熱性を持ちながら、低トルクと非粘性を備えています。
アクリルゴムの特性
この新しいアクリルゴムは以下のような特徴を持っています。
1.
持続可能な製品
PFASを含まないため、環境に優しいゴム材料であり、持続可能な社会の構築に寄与します。
2.
優れた耐熱性
190℃という高温下でも、フッ素ゴムと同等の耐熱性能を示します。「グラフ1」では、190℃環境での硬度の変化が示されています。
3.
低トルク性能
フッ素素材に比べて動摩擦が13%低下しており、低トルク性能に優れています。「グラフ2」でその動摩擦係数が評価されています。
期待される主な用途
新しいアクリルゴムは、以下のような用途に適しています。
高温環境で使われるゴム部品に最適です。
高価なフッ素ゴムを代替することでコストを削減できます。また、一般的なアクリルゴムに比べ、寿命も大幅に向上しています。
実際の使用例
高温環境で使用されるため、この新素材の特性が存分に活かされます。
繰り返しの温度変化に耐えつつ、しっかりとしたシール性能を発揮します。
会社概要
中西金属工業株式会社は、1924年に創業され、1941年に法人化された歴史ある企業です。サステナビリティや高機能性を追求し、ベアリングやゴムシール、金属プレス加工など多岐にわたる製品を手掛けています。
新しいアクリルゴムがどのように市場に影響を与えていくのか、今後の展開が非常に楽しみです。