スペースデータとRedwire社、AI協業に合意
2023年、東京を拠点とする株式会社スペースデータは、米国の航空宇宙・防衛企業であるRedwire Corporationとの間で人工知能(AI)およびデジタルエンジニアリング分野における協力に関する覚書を締結しました。この歴史的な合意は、宇宙探査の未来において重要なステップとなるでしょう。
協業の狙い
スペースデータは、既に保有しているデジタルツイン技術の活用を通じて、Redwire社のデジタルエコシステムと連携することを目指します。この技術により、国際宇宙ステーション(ISS)や他の宇宙ミッションへの貢献を図る考えです。さらに、NASAの商業LEO(低軌道)利用に関連したコンポーネントやシステムの共同開発も視野に入れています。
また、地球低軌道(LEO)、月周辺空間(Cislunar)、さらには深宇宙探査に向けた共同ミッションの具体化を目指す意向も示されており、この協力関係がどのように進化していくのかが注目されます。
高田敦とShawn Buckleyのコメント
Redwire社の商用宇宙及び国際連携部門を率いるShawn Buckley氏は、今回の提携について「国際宇宙ステーション(ISS)を中心とした低軌道空間の利用を最大限に引き出し、将来的な商業ステーションや月面・深宇宙ミッションの可能性を高めることができる」とコメントしており、その期待感が伺えます。
一方で、スペースデータの執行役員である高田敦氏も「この提携は単なる協業に留まらず、宇宙を人々が居住できる空間へと拡張する一歩」と意義を強調しました。双方の先進技術を組み合わせることで、持続可能な宇宙インフラの構築を加速させるとの展望も明かしています。
デジタルエコシステムの強化
Redwire社は、自社の「DEMSI(Digital Ecosystem for Mission and System Integration)」を通じて、リアルタイム・ノーコード統合のためのフレームワークと高精度シミュレーションツールが融合したデジタルエンジニアリング環境を提供しています。このシステムは、仮想環境と実機の部品を連携させる「ハードウェア・イン・ザ・ループ」シミュレーションを利用して、高精度な検証を可能にします。
宇宙における持続可能性
一方、スペースデータは「ISSシミュレーター」や「月面デジタルツイン」を通じて、宇宙環境下の行動を仮想空間で模擬する技術を提供。これにより、実際のミッションにおける成功率の向上が実現されています。特にISSシミュレーターでは、実際のISS上のハードウェアと仮想環境に同じ指示を出すことでその精度を実証済みです。
スペースデータとRedwire社のビジョン
Redwire社は、先進技術を通じて航空宇宙・防衛の分野で革新を促進する企業であり、約1,300名の社員が各国で活躍しています。対するスペースデータは、宇宙の民主化を目指し、誰もが利用できるインフラへの変革を進めています。両社の協業によって、持続可能な宇宙社会の実現が加速されることが期待されています。
このパートナーシップは、今後の宇宙探査や商業利用に関する新たな可能性を切り拓くものであり、私たちが宇宙においてどのように未来を築いていくのか、その行く先に注目が集まります。