千葉県大多喜町における電動モビリティシェアリング実証実験
近年、公共交通機関の運営が厳しい地方において、新たな交通手段を模索する動きが広がっています。その中で、千葉県夷隅郡大多喜町では、BRJ株式会社が電動三輪モビリティシェアリングサービス『TOCKLE』の実証実験を始めました。この取り組みは、地方の交通空白を解消し、安全な移動手段を提供することを目的としています。
大多喜町の魅力
大多喜町は、養老渓谷や粟又の滝、大多喜城をはじめとする観光地が点在しており、年間 約125万人の観光客が訪れる活気ある町です。公共交通機関としてはいすみ鉄道や小湊バスがあり、これらは町の生活や観光の重要な要素を担っています。しかし、現在の交通網だけでは観光地や宿泊施設、商業エリアをスムーズに結びつけることが困難な状況です。そこで、電動三輪モビリティがその解決策として導入されました。
安全対策の徹底
ジオフェンシング機能
しかし『TOCKLE』が単なる移動手段ではなく、安全性が最も重視されています。まず、ジオフェンシング機能を搭載しており、特定のエリアに入ると自動的に運転を停止する仕組みになっています。これにより、危険なエリアに誤って侵入することを防ぎます。自治体は、この機能を地元の実情に応じて柔軟に設定することが可能です。
交通ルールテスト
次に、サービスを利用するためには、警察庁と共同で作成した交通ルールテストを受講する必要があります。一定の基準をクリアしない限り、『TOCKLE』の利用ができないため、利用者の安全への意識も高まります。
深夜営業停止
また、深夜時間帯の運用は一切行わない方針を採っています。安全性を最優先に考え、21:00から翌朝7:00までの間は、『TOCKLE』が利用できないように設定されているのです。このような徹底した安全対策により、安心して使える公共交通機関を目指しています。
実証実験の概要
『TOCKLE』の実証実験は2026年1月31日(土)まで実施され、利用時間は7:00から21:00までとなっています。主要なポート設置場所は、いすみ鉄道大多喜駅や大多喜町役場、養老渓谷の観光施設など、町の異なるエリアに設置されています。利用料金は30分500円で、運転免許がなくても利用可能で、アプリ『TOCKLE』への登録が求められます。
地域活性化への期待
大多喜町で『TOCKLE』が運行されることで、観光客や地元住民が安全に移動できる環境が整います。地域の観光名所と宿泊施設、商業エリアを結ぶ新たな移動手段としての役割が期待されます。この実証実験が成功すれば、他の地域でも同様の取り組みが広がっていくことでしょう。
BRJ株式会社の取り組み
BRJ株式会社は、安全かつ持続可能な移動手段の提供を目指しています。代表取締役社長の宮内秀明氏は、物流トラックのドライバーとしての経験を生かし、安全に対する意識を高めています。そこで、生まれたのが『TOCKLE』というサービスです。地域のニーズに応じた公共交通を提案し、「人と街に感謝される未来の公共交通を創る」というビジョンを掲げています。
この実証実験を通じて、大多喜町が未来の公共交通のモデルケースとなることが期待されています。安全で快適な移動手段が、地方の交通空白を解消する鍵となるでしょう。