スペクトラム社のデジタイザがJUNOに導入
デジタイザや計測機器を手がけるスペクトラム・インスツルメンテーション社が、国際的なニュートリノの研究プロジェクト「JUNO」において、そのADCカードを採用したことが発表されました。このプロジェクトは、世界最大規模の液体ニュートリノ検出器を用いて実施されています。この新しい技術により、「幽霊粒子」と呼ばれるニュートリノの特性理解が深化することが期待されています。
ニュートリノとは?
これまでニュートリノは質量がないと考えられていましたが、現在では小さな質量を持ち、3つの異なる「flavors」で相互に切り替わるという理論が定着しています。その性質上、ニュートリノは通常物質を透過しやすく、検出が難しいため、特別な検出器の構築が不可欠です。
JUNOプロジェクトの概要
新たに設置されたJUNOは、中国の江門市の地下750メートルに配置されています。74の大学や研究所から集まった科学者730名の協力によって、4億ユーロという巨額の投資がなされています。JUNOの中核を成す液体シンチレータは、スペクトラム社のデジタイザカードを用いて開発されました。
JUNOは、8基の原子炉から供給されるニュートリノを正確に測定する目的で設計されています。その中心には34.5メートルの内径を持つアクリル球があり、特殊に開発された20,000トンの液体シンチレータが満たされています。このシンチレータは、ニュートリノと相互作用することで光子を生成し、35,000トンの容量を持つ水槽に集められます。その光子は、周囲の4万5,000個の光電子増倍管(PMT)によって検出されます。
先進的な実験に向けた準備
ミュンヘン工科大学やマインツのヨハネス・グーテンベルク大学の研究チームは、液体シンチレータの特性を評価するために、スペクトラム社のM4i.2212デジタイザカードを使用した実験を行っています。これにより、2024年末にはJUNOが稼働を開始し、最大規模のニュートリノ検出能力を持つ装置となるでしょう。
建設中の特別な条件
JUNOの設置には様々な配慮がなされており、放射線の影響を避けるために、地下の特別な空間で建設が進められています。さらに、液体シンチレータと水は超高純度でなければならず、手袋を二重にするなどの細心の注意が払われました。
デジタイザカードの優位性
ハンス・シュタイガー博士が強調するように、スペクトラム社のデジタイザカードはコストと性能の面で非常に優れています。プロジェクト参加者は必要な機能を正確に指定でき、不要な部分に資金を浪費せずに済むため、信頼性の高い部品が必要な国際的なプロジェクトには最適です。さらに、5年保証も心強い後押しとなっています。
JUNOの影響
このプロジェクトは、ニュートリノの相互作用を詳しく理解するためだけでなく、天文学や他の科学分野においても重要な影響を及ぼします。シュタイガー博士は、ニュートリノの観測が新たな研究の道を拓く可能性を示唆しています。
「今後は、宇宙の様々な現象をより深く理解するための道が開かれるでしょう。これにより、様々なニュートリノの発生源を検出できることが期待されています。」
スペクトラム社の概要
1989年に設立されたスペクトラム社は、モジュラー設計を利用し、デジタイザ製品と波形発生器を広範囲に展開しています。世界中の主要大学や業界リーダーにサービスを提供し、5年保証や優れたサポートが評価されています。詳細は、
スペクトラム社公式サイトをご確認ください。