フリーランス保護新法に対するIT人材の理解度は低い現状とその背景
2023年11月に施行される予定のフリーランス保護新法に関連する情報が、IT業界にどのように浸透しているのかに注目が集まっています。レバテック株式会社が実施した調査によると、現在フリーランスとして働くIT人材563名のうち、法の概要を知っていると答えた人はわずか20%程度にとどまっています。
この調査では、ITフリーランスが「内容を熟知している」と回答したのは4.6%、また「概要は理解している」と答えたのは15.6%でした。一方、同様の質問に答えた正社員は、熟知しているとしたのが5.7%、概要を理解しているという回答が12.5%でした。全体として、法の認知度は十分とは言えず、高い意識が求められています。
口頭契約によるトラブル
調査において、約25%のITフリーランスが「口頭契約による認識齟齬」の経験があることも明らかになりました。具体的なトラブル例としては、「報酬の支払い遅延や未払い」や「一方的な報酬の減額」という金銭的な問題が続いており、これらは契約の明確化が不可欠であることを示唆しています。また、フリーランスが抱える悩みとして最も多かったのは、案件獲得の持続性に関する不安でした。
新法が施行されることで、こうしたトラブルを防ぎ、フリーランスが安心して働ける環境が整うことが期待されています。具体的には、取引の適正化や労働環境の整備が目的とされています。これにより、フリーランスはより自由に創造的な仕事に取り組むことが可能になると考えられています。
フリーランスとして働く理由
フリーランスとして働く理由についても興味深い結果が得られました。最大の理由は「スキルに見合った報酬の提示」とされ、これが22.7%の人に支持されました。さらに、「家庭の事情によりフルタイムが難しい」という理由も考慮されており、約11%の人が状況に応じた働き方を希望している事実が浮き彫りになりました。2024年の春闘では賃上げ率が5%を超えると見込まれている中で、多くのIT企業が多重下請けの影響で賃金向上が難しい構造にあるため、フリーランスの選択は報酬の向上をもたらす機会と捉えられています。
新法の施行と今後の展望
調査を経て、レバテックの担当者は、フリーランス保護新法の認知度が低い現状について懸念を示しました。新法が実効性を持つためには、フリーランスとして働く人たちに向けた情報提供や教育・理解促進が必要になるでしょう。
フリーランスが社会に浸透することで、日本のIT業界の生産性向上と働き方の多様性が期待されています。出産や育児、介護などの理由でキャリアを諦めざるを得なかった層に対しても選択肢を広げ、日本全体の労働市場の柔軟性を向上させられる可能性があります。新法の施行がフリーランスとして働く人々の働きやすい環境を創出し、IT産業がさらなる発展を遂げることに寄与すると期待されています。
まとめ
フリーランス保護新法施行の影響は、IT業界におけるフリーランスの位置づけを一新する可能性がありますが、認知度や理解促進の課題も残されている状況です。今後もレバテックは、フリーランスとしての選択肢を増やす取り組みを続けていく意向を示しており、働く人にとってより良い環境が実現されることが期待されます。