近年、建設業界においては効率性の向上と安全性の確保が重要な課題となっています。特に施工後の検査工程においては、指摘箇所を特定することが必要不可欠です。この課題を解決するため、清水建設株式会社、双日九州株式会社、そして株式会社LAplust(ラプラス)の3社が協働し、先進的なAI技術を用いた実証実験を行いました。
画像解析AI技術の背景
この技術実証の根底には、地下ピット施工後の完了検査などで必要な「指摘箇所の特定」があります。これまでは人間が膨大な動画を目視確認し、時間をかけて指摘箇所を洗い出していました。特に、地下ピットと呼ばれる閉じられた空間での作業は、事故の危険性が高いことから、いかに安全に効率よく検査を行うかが求められていました。
そこで導入されたのが、LAplustが開発した画像解析AI「LA-Eye」です。このAIは、ドローンで撮影した動画データを解析し、人間の目では見落としがちな細かな指摘箇所の検出を可能にします。実際、今回の実証では、従来の手法では確認が難しいような画像でもAYがその特性を活かし、検出することが確認されています。
技術実証の内容
実証では、まず新たに導入したドローンを使用して地下ピット内を撮影しました。この撮影方法により、従来の手法よりも短時間で安全にデータ収集ができるようになっています。
次に、撮影した映像データをAIが解析します。AIモデルは特に、初心者では見抜けないようなエフロレッセンスや設備配管の未施工箇所などの特定ができるように学習されています。実際のデータを使用した解析においては、判定の均一性と精度が確保されていることが確認されているため、今後はさらなるデータを投入し、モデルの精度を向上させる予定です。
今後の展望と課題
実証を終えた清水建設の担当者は、「AIによる検出精度が期待以上であった。今後はさらなるデータを蓄積し、モデルを最適化していきたい」とコメントしています。今回の成果を踏まえて、清水建設では他の業務でもAIの活用を検討するとのことで、さまざまな分野での効率化や安全性向上が期待されています。
今後の課題としては、判定の誤検出や過検出もあるため、それらを改善するための具体的な対策を講じることが求められています。これにより、施工後の指摘箇所を自動で抽出し、業務指示を迅速に行える体制の確立が目指されています。
まとめ
清水建設、双日九州、LAplustのコラボレーションによるこの技術実証は、従来の発想を超えた革新的な試みです。AIの活用により、建設業務の現場がどのように変革していくのか、今後の展開に注目が集まっています。これからも技術の進化が進む中、建設業界の未来に向けてのステップが着実に進められることを期待しましょう。