CGRPの動脈硬化抑制
2024-08-29 15:34:35

岡山理科大学の研究が示すCGRPの動脈硬化抑制効果とその可能性

岡山理科大学の研究が示すCGRPの動脈硬化抑制効果



岡山理科大学の橋川成美准教授と橋川直也准教授を含む研究チームは、動脈硬化に関する新たな知見を発表しました。この研究は、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)が動脈硬化モデルマウスの病態にどのように影響するかを探るもので、特にCGRPが動脈硬化の進行を抑制する可能性を示唆しています。

研究の背景


動脈硬化は、血管壁にアテローム(コレステロールや脂質が沈積した病変)が形成され、血流が滞ることで様々な心血管疾患を引き起こす病気です。この病態は、炎症を促進する免疫細胞、特にマクロファージの活動に大きく依存しています。CGRPは知覚神経に含まれる神経伝達物質で、血管の拡張や炎症の抑制に関与するとされています。しかし、CGRPの動脈硬化における具体的な役割は従来不明でした。

研究方法


研究チームは、CGRPを欠損させたダブルノックアウトマウス(apoE/CGRPダブルノックアウトマウス)を作成し、その動脈硬化に対する影響を評価しました。実験の結果、CGRPが欠損したマウスでは脂質沈着が増加し、マクロファージの機能も悪化していることが確認されました。このことは、CGRPが炎症性サイトカインであるTNFαの抑制に寄与し、動脈硬化の初期の進行を防いでいることを示唆しています。

結果について


注目すべきは、CGRPの阻害が動脈硬化を悪化させる可能性があることです。特に、CGRP抗体医薬品(ガルカネズマブ)を投与した際、動脈硬化の初期病変が悪化する傾向が観察されました。これにより、CGRPは動脈硬化に対して予防的に働くことが明らかになりました。

今後の期待


これらの研究結果は、CGRPが動脈硬化の進行に深く関与していることを示しています。特に、CGRPを増加させる新たな治療法の開発が期待されており、これは動脈硬化症治療における新しいアプローチとなる可能性があります。今後、CGRPをターゲットとした治療法が心血管疾患の予防や治療に寄与することが期待されます。

この研究成果は、2024年8月8日に英国の科学誌『Scientific reports』に発表され、公益財団法人ウエスコ学術振興財団の助成を受けて行われました。


画像1

会社情報

会社名
学校法人加計学園
住所
電話番号

トピックス(科学)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。