展覧会の趣旨
国立アイヌ民族博物館では、令和8年6月20日から8月23日までの期間、第11回特別展示「アイヌ民族と博覧会―150年の経験―」が開催されます。この展示は、1872年の湯島聖堂博覧会で初めてアイヌ資料が披露されて以来、2025年の大阪・関西万博に至るまで、150年にわたるアイヌ民族と博覧会の関わりを紹介するものです。
展示では、悲しい歴史として語られるアイヌ民族の展示がどのように変化してきたのかを探り、アイヌ民族自身の主体性や、多様な経験に焦点を当てています。これにより、博覧会は彼らにとって何を意味し、どのような声がそこに込められているのかを深く掘り下げていきます。
展示構成
展覧会は4章で構成されており、各章はアイヌ民族の歴史と博覧会の関わりを詳しく解説しています。
第1章: アイヌ工芸品展示の草創期から博覧会へ
この章では、アイヌ工芸品が和人社会でどのように受け入れられ、展示されたのかを明らかにします。特に明治初期の博覧会において、アイヌ工芸品がどのように農業や産業振興の文脈に組み込まれ、来場者に影響を与えたかを説明します。アイヌ工芸品は、当時の社会における「文明」と「野蛮」の対比を象徴する存在でもありました。これにより、博覧会はアイヌ民族観を広める巨大メディアとしての役割を果たしていました。
第2章: アイヌ民族の出場
この章では、アイヌ民族が博覧会で「人間展示」として紹介された期間について語ります。明治末から昭和戦中期にかけて、アイヌ民族は和人から「野蛮な民族」と見なされ、展示されました。しかし、その中で彼らがどのように自らの立場を築いていったのか、人と人との複雑な関係性にも触れます。
第3章: アイヌ文化を見せていく時代
ここでは戦後のアイヌ民族と博覧会の関わりの変化に注目します。1970年の大阪万博を契機に、アイヌ民族は自らの文化を新たに見せる方法を模索し、地域の交流も活発になりました。アイヌ民族がどのように自文化を再評価し、博覧会に関与するようになったのかを振り返ります。
第4章: アイヌ民族と博覧会のゆくえ
この最後の章では、現代におけるアイヌ文化の表現の場としての博覧会や、2025年大阪・関西万博でのアイヌ舞踊公演に焦点を当てます。アイヌ民族の参加がどのような経験や人との絆を生み出し、文化の継承に寄与しているのかを考察します。
関連イベント
展覧会に合わせて、各種トークや講演会、ギャラリートークも予定されています。各回ごとに専門家が招かれ、興味深い内容が展開されます。賢明な観客には、これらのイベントを通じて、アイヌ民族と博覧会の深い関わりをさらに知る機会となるでしょう。
基本情報
会場
国立アイヌ民族博物館特別展示室(北海道白老郡白老町若草町2-3-1)
会期
令和8年6月20日(土)から令和8年8月23日(日)まで
休館日
毎週月曜日(ただし特定日には開館)
観覧料
特別展示観覧料は無料で、民族共生象徴空間(ウポポイ)の入場料金は大人1,200円、高校生600円、中学生以下は無料となっています。なお、障がい者とその介護者にも配慮がされています。
この展示はアイヌ民族の文化や歴史を理解するうえで非常に貴重な機会であり、多くの方々に足を運んでいただきたいと思います。