不要な衣類を資源に変える革新的取り組み
近年、世界中で深刻化する問題の一つに、大量の衣類廃棄があります。日本でも年間約50万トンもの衣類が廃棄されているという現実。この問題に対し、東京都港区に本社を置くクレサヴァ株式会社と、北海道苫小牧市に拠点を置く株式会社ランデオが、画期的な事業提携を行いました。
クレアヴァの循環型テクノロジー「CIRCULAR FARM」
クレサヴァ社が開発した「CIRCULAR FARM」は、不要になった衣類を「捨てる」のではなく「土に還す」という循環型システムです。従来のリサイクル方法では、衣類の素材を分別する必要があり、コストと手間がかかっていましたが、CIRCULAR FARMでは、天然繊維と化学繊維を問わず、衣類をそのまま回収。自動化されたシステムでファスナーやボタンなどの付属品を取り除き、破砕・粉砕処理を行います。
そして、独自開発の炭化装置を用いて、化学繊維などに含まれる有害物質やマイクロファイバーを安全に熱分解。この過程で、焼却と比較してCO2排出量を約80%削減することに成功しました。こうして作られた炭化物は、土壌改良材として活用され、安全で美味しい農作物を育むことに貢献します。廃棄物であった衣類が、農業を支える貴重な資源へと生まれ変わるのです。
ランデオとの事業提携と北海道苫小牧での展開
ランデオ社は、産業廃棄物のリサイクルを専門とする企業。2007年の創業以来、北海道苫小牧市で、鉱さいや汚泥などの処理と再生資源化に取り組んできました。この度、クレサヴァ社との事業提携により、衣類の回収事業が本格始動。特に、ランデオ社が拠点を置く北海道苫小牧市では、2025年春に農場を併設する計画があり、そこでCIRCULAR FARMで生まれた土壌改良材を活用した農作物の栽培を開始する予定です。
未来へ向けた持続可能な社会の実現
クレサヴァ社は、2028年までに国内の年間衣類廃棄量の10%にあたる約5万トンを処理できる能力を持つことを目標に掲げています。地方自治体や企業との連携も強化し、CIRCULAR FARMを日常的なインフラとして確立することで、持続可能な社会の実現を目指しています。
ランデオ社のサステナビリティへの取り組み
ランデオ社は、社名変更を機に、環境問題とサステナビリティへの取り組みをさらに強化。様々な廃棄物の再資源化を通じて、持続可能な社会と環境の未来を創造しようと意欲的に取り組んでいます。産業廃棄物のリサイクルで培ってきたノウハウと、クレサヴァ社の革新的な技術が融合することで、日本における循環型社会の構築に大きく貢献することが期待されます。
まとめ
クレサヴァとランデオの事業提携は、ファッション業界が抱える廃棄物問題と、農業における土壌改良という二つの課題を同時に解決する画期的な試みです。この取り組みは、持続可能な社会の実現に向けた重要な一歩となるでしょう。今後、両社の更なる取り組みと、CIRCULAR FARMの普及に注目が集まります。