物流業界は、2024年4月に施行される働き方改革関連法によって、ドライバーの労働時間に厳しい制限がかかる「2024年問題」を迎えます。この問題に対処するため、センコー株式会社と住宅メーカーの旭化成ホームズ、積水化学工業の住宅カンパニー、積水ハウスは共同で住宅物流に関する協業をスタートしました。
この新たな取り組みは、各社が一堂に会して設立した「住宅物流4社協議会」から生まれました。目標は物流の効率化と、持続可能な社会の実現に向けた取り組みです。特に、2025年までにトラック運転時間をおよそ1万7,000時間分削減することを目指しています。これにより、輸送過程で発生するCO2排出も500トン分削減する計画です。この数値は、スギの木約35,800本が年間に吸収する二酸化炭素量に相当します。
住宅物流の共同施策
「住宅物流4社協議会」では、下記の4つの協業施策を通じて目標達成を図ります:
1.
物流拠点・車両の共同利用: この施策では、全国に点在する29の物流拠点を共同で利用し、より効率的な物流体制を整えます。これにより、主要都市から施工現場へのアクセスがスムーズになることが期待されています。
2.
部材の共同購入・輸送: 各社がそれぞれ手配するのではなく、住宅部材の共同輸送を行います。これにより、積載効率が向上し、トラック台数の削減が狙えます。また、共同購入も進めることでさらなるコスト削減を見込みます。
3.
車両の大型化:「ダブル連結トラック」を導入することで、長距離輸送時の運転人数を半減させる施策も実施されます。この大規模なトラックが導入されることで、効率性と持続可能性が高まると考えられています。
4.
環境に優しい配送: 環境へ配慮し、電気自動車(EV)とリニューアブルディーゼル車の導入が進められます。すでに、2023年9月にはEVトラックの導入が完了し、さらに2024年にはリニューアブルディーゼル車での配送も開始される予定です。
未来への展望
センコーと住宅メーカーの協業により、今後物流業界のトレンドがどのように変わっていくのか注目が集まります。働き方改革の実施に伴い、業界全体でドライバー不足が懸念されている中、このような取り組みは業界の大きな流れを変えるかもしれません。
これからも、住宅物流4社協議会は職能や法律に留意しつつ、社会的課題に取り組んでいく方針です。最終的には、効率的な輸送と持続可能性に寄与することが期待されています。私たちの生活に直結する住宅物流が、今後どう変化していくのか、注視が必要です。