コンプライアンス違反倒産、388件に達する
2024年は、コンプライアンス違反が原因で倒産した企業が388件に達し、過去最多を記録しました。これは2023年に比べて37件多く、前年比で見ると約10.5%の増加です。この急増には、サービス業を中心としたさまざまな要因が影響を及ぼしています。
業種別に見ると、サービス業が最も多く、122件(全体の31.4%)を占めています。続いて建設業が68件、小売業が54件という形です。その中でも特に目立つのが、広告代理業者やソフトウェア業者を含む「広告・調査・情報サービス業」で、ここには50件の倒産が確認されており、運輸業やその他のサービス業も多くを占めています。
粉飾倒産が過去最多
特に問題となっているのが、粉飾による倒産です。2024年の粉飾倒産の件数は95件で、これも過去最多を記録しました。粉飾決算の商品化による倒産リスクが高まっており、これは支援策の利用によって一時的に隠蔽されていた状況が影響しています。返済期限が到来する際に初めて発覚するというケースが顕著で、企業の負債規模も大型化し、多くの関係者に影響を与えています。
業法違反や資金使途不正も増加しており、具体的には労働安全衛生法違反が72件、さらに資金流出が70件に達しています。特に、いくつかの不明瞭なM&A活動に関する企業が倒産する例が多く見られます。
国の補助金不正受給の影響
また、コロナ禍での雇用調整助成金などの不正受給案件にも注目が集まります。2024年内には49件に上り、こちらも過去最多です。2022年からの急増は、多くの企業にとって深刻な問題であり、コンプライアンス違反が引き起こす倒産リスクがいかに高いかを示しています。
2024年の全国企業倒産件数は9901件に達し、前年比で16.5%の増加となっています。コンプライアンス違反倒産も含め、倒産全体の約4%を占めています。
社会の目が厳しくなる中で
過剰な営業活動により事業が譲渡され、民事再生法の適用を申請した事例もあるように、コンプライアンスに対する社会的な目は日に日に厳しくなっています。取引先や消費者の信頼を損なうコンプライアンス違反は、直接的な経済損失だけでなく、企業の名声や持続可能性にも大きな影響を与えることは間違いありません。
2025年に入っても、コンプライアンス違反倒産の増加が示唆されており、企業はこれらのリスクを真剣に考える必要があります。今後もこの問題が広がり続ける可能性が高いと見られるため、業界全体での健全化が求められています。