2025年リテールの展望
2025-05-16 11:16:25

2025年のリテール市場は高額品販売の不調が懸念される

2025年のリテール市場は高額品販売の不調が懸念される



クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)は、2025年の第一四半期における「リテールマーケットビート」レポートを発表しました。これによると、世界経済全体の不透明感が高まり、高額品の販売が影響を受けていることが浮き彫りになっています。

経済の影響と消費者動向



2025年第1四半期の実質GDPは、前期比年率で-2.1%を見込むことになっており、この背景には輸入の増加などがあるとされています。コアCPI(消費者物価指数)は、2023年1月時点での前年比+3.5%のピークを下回りつつも、依然として+3.2%と高い水準を維持しています。このような状況下で、2025年3月の勤労世帯の実収入は前年同月比2.0%減少しました。名目賃金の上昇は期待されているものの、物価上昇が影響して消費者態度指数は低下し続けており、特に3月は34.1という数字を記録しました。これは約2年ぶりの低水準とも言え、消費者の購買意欲が減退していることを示しています。

小売販売の動向を見ると、平均的な全国小売販売高はコアCPIの上昇と比べて僅かな減少を見せました。業態別では、ドラッグ・ストアが5.7%の増加を記録し、身の回り品は好調でしたが、百貨店は0.4%の微減となっています。特に、訪日外国人による高額消費が減少し、免税売上高が前年同月比で10.7%減少したことが高額品販売の低迷に拍車をかけています。

賃料とプライムエリアの変動



第1四半期のプライムエリア賃料は下限値が上昇し、全体の平均賃料も上昇しました。渋谷では25%、表参道や青山、原宿では20%の上昇が見られ、名古屋の栄では11%の上昇が記録されています。これには、高額なプライムエリアの出店余地が限られていることが影響しています。需要が集中しているため、比較的低コストの物件への移行が進んでいます。また、新宿などではプライムエリアの拡大が見られ、今後の再開発によりさらなる変化が期待されます。

一方で、世界経済全体の不透明さを考慮すると、プライムエリアの賃料を牽引していたラグジュアリーブランドの出店意欲にも鈍化が見られており、今後賃料は横ばいになると予測されています。これに対し、複数のアパレルブランドは依然として高額な賃料を受け入れる動きがあります。

今後の展望



米国の輸入関税についての各国との交渉が進む中、世界経済全体の先行きは引き続き不透明です。2025年4月末時点でのドル円相場は第1四半期末より約6%の円高が進行しており、訪日外国人による高額品消費はさらなる減退が見込まれています。それに伴って、プライムエリアの賃料は今後さらに変化が期待されるものの、依然として出店余地は限られたままとなるでしょう。特に福岡の天神や名古屋の栄などでの再開発が計画されていることから、プライムエリアのさらなる拡大も予想されます。

本レポートでは、リテール市場の動向や賃料の概要、今後の見通しについて詳しく分析しており、詳細を知りたい方はPDF版のレポートやC&Wの公式ウェブサイトをご覧ください。


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