SiC半導体の新技術
2025-07-08 11:46:38

レゾナックと東北大が共同研究、廃棄シリコンから環境に優しいSiC半導体を開発

レゾナックと東北大学によるSiCパワー半導体材料の新技術



株式会社レゾナックと、東北大学が共同で、シリコンスラッジ(廃棄シリコン)と二酸化炭素(CO2)を活用した新たなSiC(炭化ケイ素)パワー半導体材料の開発を進めています。このプロジェクトは、環境負荷を軽減するための重要な一歩であり、特に製造業における温室効果ガスの削減に直結することが期待されています。

研究の背景



気候変動によって引き起こされる自然災害が深刻化する中で、各国は温室効果ガスの排出規制を強化しています。製造業では、このCO2削減とともに、廃棄物の再資源化が重要な課題です。特に、半導体や太陽光発電パネル製造に不可欠なシリコンウェハーには、切り出し過程で生じるシリコンスラッジが多く、その多くが産業廃棄物として処理されています。

東北大学は、この問題の解決を目指し、シリコンスラッジとCO2を化学反応させることでSiCを合成する技術の研究を進めてきました。これにより、従来の高エネルギー消費型プロセスに代わる低環境負荷技術の実現が期待されています。

プロジェクトの進展



レゾナックは、エピタキシャル層を成長させたSiCエピウェハーの製造に注力しています。このウェハーは、電動車や産業機器で使用されるパワー半導体デバイスに不可欠です。SiCエピウェハーは、従来のシリコンウェハーと比較して電力効率が高く、省エネに寄与しますが、製造過程での環境負荷を軽減する課題もありました。

今回、両社は2024年より、シリコンスラッジとCO2を原料にSiC粉末を合成する基礎研究を始め、本格的な応用検討に着手しました。特に、カーボンリサイクル技術を用いてSiCを生成するこの技術の実用化が進めば、SiCパワー半導体が大幅に普及し、環境へのプラス影響が期待されます。

環境への貢献



本技術を実用化することで、約100トンのSiC粉末生成時に110トンのCO2削減が可能とされており、これが実現すれば、パワー半導体の製造と使用がより持続可能なものとなります。環境への配慮と効率性を両立させるこの技術は、未来の技術革新を促進し、2050年のカーボンニュートラルを実現するための重要な要素と位置付けられています。

共同研究の意義



レゾナックのデバイスソリューション事業部の専門家らは、この取り組みがサプライチェーンに及ぼす影響について、自信を持ってコメントしています。長年培った技術を活かし、環境への影響を最小限に抑える健全な製造プロセスを確立することが、企業の理念に直結しています。

また、東北大学の専攻教授も、CO2とシリコンスラッジを資源化するこのプロジェクトが、廃棄物問題及び温室効果ガス削減を同時に解決する画期的なものだと期待を寄せています。これにより、電気自動車や再生可能エネルギー関連分野でも幅広く活用されることが見込まれ、産業全体の競争力向上にも寄与するでしょう。

まとめ



これら一連の取り組みを通じて、レゾナックと東北大学は持続可能な社会の実現に向け、今後も革新を続けていくことでしょう。シリコンスラッジとCO2を組み合わせた新技術によって、より良い未来へとつながる道を開くことが期待されています。


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会社情報

会社名
株式会社レゾナック・ホールディングス
住所
東京都港区東新橋1-9-1 東京汐留ビルディング
電話番号
03-5470-3235

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