ダッソー・システムズがAIを活用した新世代の心臓モデルで医療機器開発を加速

ダッソー・システムズ、AIを活用したリビング・ハート・モデルで医療の未来を切り開く

ダッソー・システムズが、医療機器開発の革新を目指して「リビング・ハート・プロジェクト」に新たなAI技術を導入しました。このプロジェクトは、個々や集団の患者に応じた新世代の心臓モデルを開発するもので、これまでの医療機器の研究開発プロセスを劇的に簡素化し、加速することを目指しています。

高度にカスタマイズされたリビング・ハート・モデルとは

新しいリビング・ハート・モデルは、これまでの技術を基に、ボタン一つで組織の特性や構造を調整できる高度なカスタマイズ機能を備えています。このモデルは、実際の患者のデータを基にして作成されているため、生理学的な理解に基づく非常にリアルなシミュレーションが可能です。研究者や臨床医は、特定の患者の状況に応じた仮想的な治療方針を計画する際に、実際の患者や動物を使用することなく効果的なデータ分析を行うことができます。

AIが医療機器の開発を加速させる

このモデルの導入により、医療機器メーカーはより信頼性の高いイノベーションを設計でき、治験や規制当局の認可プロセスが加速されることが期待されています。ダッソー・システムズのエグゼクティブ、クレール・ビオット氏も「この新技術は、医療機器開発のコスト削減と迅速な承認を可能にする革新的な進展である」と語っています。

バーチャル・ツインの可能性

さらに、リビング・ハート・モデルは、新しい治療に対する集団患者の反応を予測するためのデータセットとしても利用されます。AIを活用したこのバーチャル・ツイン技術は、バイオ医薬品や公衆衛生など多岐にわたる分野での応用が可能で、コスト削減や治療結果の改善に寄与します。

新世代モデルの試験運用

2025年2月26日に発表されたリリースによれば、ダッソー・システムズは米国食品医薬品局（FDA）との5年間の共同研究の成果を踏まえ、リビング・ハート・プログラムのベータ試験を開始しました。この試験は、医療機器の新しい開発手法を提案する手引き「エンリッチメント・プレイブック」に基づいて実施されます。これにより、他の臓器へのバーチャル・ツイン応用が進むことが期待されています。