青山美智子、8年目の意欲作『人魚が逃げた』
作家・青山美智子の最新刊『人魚が逃げた』が、11月14日に発売される。この作品は、青山さんのデビュー作『木曜日にはココアを』から8年目を迎え、原点回帰を意識して書かれたという。銀座を舞台にしたこの連作短編小説は、「人魚騒動」を中心に、様々な人々の人生が交錯する様子を描いている。
不思議な人魚騒動
物語の発端は、ある日曜日にSNS上で話題となった「人魚が逃げた」という言葉。王子と名乗る青年が銀座の街を徘徊し、「僕の人魚がいなくなってしまった」と呟いている。彼の言動は次第に人々の関心を引き、騒動へと発展していく。
その裏では、様々な人生の節目を迎える5人の男女が交差している。恋愛に悩む元モデルの男性、買い物に興じる主婦、コレクターとしての過去を抱える男性、文壇に挑戦する作家、そして新たな人生を歩もうとするホステス。それぞれの人生の物語が、王子の人魚を巡る騒動とともに展開される。
青山美智子流のフィクションへの挑戦
青山美智子は、自身の作品について「物語が引っ張ってくれることが多い」と過去のインタビューで語っている。彼女にとって、フィクションは日常と密接に繋がっており、現実との境界も曖昧である。それが『人魚が逃げた』の執筆の背景にはある。青山さんは、フィクションに真剣に向き合い、そして今作を通じて「小説を書くことが本当にしたい」という熱意を再確認した。これは彼女にとっての原点回帰であり、同時に意欲作でもある。
ミニチュアの世界も魅力
本作の装丁には、ミニチュア写真家・田中達也が取り組んでおり、銀座の和光を舞台にした装丁写真が作品の雰囲気を引き立てている。青山さんは田中氏との再タッグについても「ずっと心に決めていた」と明かしており、二人のコラボレーションが生み出す「青山ワールド」にも注目が集まっている。プロローグからエピローグへと続く物語の仕掛けは、映画のような展開を感じさせる。
書店員からの絶賛の声
発売に先立ち、特定の書店員が作品の初読を行う「ゲラ読み」の応募を募集したところ、予想を上回る応募があったとのこと。これによってプルーフの増刷も行われたという。書店員たちはその感想を口々に「傑作」「伏線回収が見事」と高く評価し、青山さんの作品に対する期待感が伺える。「これぞ青山美智子の最高傑作!」といった声も寄せられ、多くの人に愛される作品になることが期待されている。
プレゼントキャンペーンとサイン会
『人魚が逃げた』の発売記念として、著者のサイン本をプレゼントするキャンペーンが実施されている。応募方法は文庫『赤と青とエスキース』に挟まれているチラシに記載された情報を基にしている。また、作品に登場する書店・教文館では、青山美智子のサイン会も予定されており、ファンにとっては見逃せないイベントとなるだろう。
まとめ
青山美智子が描く『人魚が逃げた』は、人生や運命、フィクションに対する深い探求が凝縮された作品であり、多くの読者に感動を与えることは間違いない。この新たな作品は、2024年11月14日に書店で手に入る。ぜひその目で確かめてほしい。